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第15話
「…晴さん、本気?」
俺の家に着いてまでまだ聞く俺。自分でも諦め悪いなあと思う。
「嫌だったらいいけど、優の知らないところがあるの寂しいなあ」
少し目を伏せてそういうの、ずるい。可愛いなって思っちゃったし、罪悪感がやばい。
「絶対引くなよ!!」
「うん、約束する」
真面目な顔でこっちをみてる。こうなったらとことんやってやる!
それから15分後くらい。
化粧はこれ以上ないくらい完璧にできたと思う。髪もちょっとセットした。
ドキドキしながらリビングに向かうと、テレビを見ている晴さんがいて、ちょうどこちらに背を向けていた。
「は、晴さん」
思わず声が震えてしまったけど、ここまで来たらしょうがない。俺だって男だし!と腹を括った。
ゆっくりとこちらを振り返ると、切れ長でかっこいい目が少し見開かれ、とろりと甘く細められる。
おいでおいで、と手招きされドキドキする胸を抑えながら近づくと、ぐいっと手を引っ張られ膝の上に乗せられた。
予想以上に近い距離でじっと見つめられてる。頬が熱くなっていく。ちら、と晴さんをみると、目が合った。
引き寄せられるように唇同士が触れ合う。
幾度か軽いキスを繰り返すと、こつんと額を合わせられる。
「かっこいいね、誰にも見せたく無くなるくらい」
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