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第16話(晴side)
驚いた。
化粧といわれてイメージしたのはいわゆる女性らしいもので、男性の化粧についてはあまり知らなかったからというのもあるかもしれない。
けれど多分、それ以上に俺を驚かせたのは、先程までの優とはかなり与えられる印象が違っていたからだと思う。
元々、優は顔が整っている方ではあったが、くりくりとした丸い目やふっくらとしたピンクの唇はどことなく幼い印象で可愛らしい雰囲気であった。
けれど、今の優はどことなくはっきりとした印象を表す目や、真っ赤ではないものの少し目を引く唇、スッとした鼻筋が印象的な、かっこいいイケメンといった雰囲気だ。
甘く唇を触れさせれば、とろんとした表情で身を任せてくる優を、誰にも渡したくないという独占欲がふつふつと湧いてくる。
いや、もう誰にも渡さない。
そんな気持ちを胸に抱きつつ、行こうか、と名残惜しそうな顔をする優を宥め、立ち上がった。
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