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第18話
「優。ゆーう。起きて」
軽くぽんぽんと肩を叩かれているのを感じて、甘い声が聞こえる。肩に置かれていた手がするりと首筋を通っていく。くすぐったくて少し首を竦めた。
「んんう…晴さんおはよぉ…」
「おはよ。っていってももう13時過ぎだけどな」
そう言われてぽやぽやした気分だったのが吹っ飛んだ。
「えっ!!?出発したとき11時半とかだったよね!?ごめん晴さん、お腹空いてるでしょ?」
「気持ちよさそうに寝てたから起こすに起こせなくて。俺は大丈夫だけど、店の時間もあるし行こうか」
そう言われて慌ててシートベルトを外し車から降りる。
すると目の前にはオシャレな雰囲気のログハウスがあった。思わずうわぁ、と声を出してしまう。
そんな俺を見てくすくすと笑みを零す晴さんに手を引かれ中に入ると、ゆったりとした音楽とともにふわりとカフェみたいなコーヒーの匂いが漂ってきた。時間も時間だからか、人はあまり居なくて、それぞれゆったりとしたブレイクタイムを楽しんでいるような感じだった。
晴さんはよく来ているらしく、いらっしゃいませーと声を掛けられているのを軽い微笑みで返して窓の近くの四人席に向かった。
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