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第20話
「うわぁ…!!」
俺の前に置かれたオムライスはとろぉっとした卵に、デミグラスソースとホワイトソースが半分ずつで、1個で2つの味が楽しめるタイプのオムライスだった。
晴さんの前に置かれたハンバーグは、じゅわじゅわと熱い鉄板の上で油がバチバチとはねていて見るからに熱そう。なんもかかってないなあと思ってたら、岩塩とデミグラスソース、おろしポン酢の3種類が入ってるお皿が置かれた。
すごくおしゃれだし、ひとつのもので色々な味が楽しめるような工夫がされていて、雰囲気だけじゃなくてお料理まで手が込んでいてすごいなあと思った。
晴さんがお肉を切っていくところをじいっと眺める。切る度に肉汁がじゅわじゅわ出てきて、ああ、絶対美味しいなと勝手に心の中で確信する。
綺麗にカットされたハンバーグが、岩塩にぽんぽんと押し付けられ、塩が光に反射してキラキラしてる。ふぁぁ、と見つめていると、くすりと笑みを零した晴さんが「どうぞ」といってフォークを俺に差し出してきた。
「ありがとう!」
ちゃんとお礼を言ってから、口をかぱりと開けて頬張る。大事に大事に味わって飲み込むと、俺もお礼に、と思ってオムライスを卵多めにスプーンにとった。
「はい、晴さん、あー………」
口に残るハンバーグの余韻に浸りつつ、にっこにこの笑顔で晴さんの口元にスプーンを持っていく途中で、少し止まる。あれ、自然にやってもらったけど、あーんしてもらったし、いまあーんしようとしてる、俺。
え、恥ず、え、スプーン戻して俺が食べるのあり?でも晴さんが変な位置で止まった俺を見て口を軽く開けたままニヤニヤしてる。
これ絶対俺が恥ずかしがってるのバレてる…!
でももうここまできたらやるしかない!俺も男だし!やるときはやるんだ!
「あーん!」
さっと差し出してスプーンをすぐに晴さんの口のなかから取り出す。
ドキドキしながら晴さんをみる。すると晴さんは口元についたソースをゆっくりと俺に見せつけるように舌を出して舐めとった。
ばっと昨夜のことが思い出されて顔が真っ赤になる。それをみてご機嫌になった晴さんは自分のハンバーグをもぐもぐと口に運び始める。
なんだか俺だけがドキドキしてるのが気に入らなくて、ふん、と不貞腐れながらオムライスに手をつける。とろりとした卵に合う2種のソースは俺好みで、食べてるうちにご機嫌になっていった俺をみて、また晴さんが笑った。
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