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第23話

んん"っていう咳払いが聞こえてぱっと晴さんから離れる。店員さんが気まずそうにお皿を下げていった。 晴さんはちょっと不満げだったけれど、顔を真っ赤にしてる俺を見てニヤニヤし始めた。 そろそろ出よう、と立ち上がりあわあわと荷物を持つ。そして伝票も、と手を伸ばした瞬間、晴さんに持っていかれた。 「待って、晴さんに連れてきてもらったから、俺が奢りたい!」 はい!と両手を伸ばして、渡してくださいとアピールしたが、晴さんはするりと躱してレジに向かう。 慌てて後を追おうとしたけれど、晴さんの上着が椅子に掛けられたまま残っていて、忘れ物とかちょっと可愛い、と思いつつ手に取ってから向かうともう支払いは済んでしまっていた。 むすっとしながら上着を手渡すと、「優なら気づくと思ってた」と言われて、結局俺は晴さんの手の内でころころ転がされていただけだったのだと悟った。 「ありがとうございましたー」という声にぺこりと頭を下げ、先をいく晴さんを追いかける。今の俺は顔に不満ですって書いてあると思う。 そう思いながらじとっと見つめていると、困ったように笑った晴さんが頭をくしゃりと撫でた。 「じゃあ、次は優のおすすめのお店連れて行って?そこで奢ってよ」 「絶対だよ!約束!!」 また晴さんとお出かけできるんだ、とちょっとわくわくしながら車に乗り込むと、視線を感じてそちらに顔を向ける。運転席に座るイケメンと目が合って、どうしたの?ときくように首を傾ける。 するとその瞬間にちゅ、と唇にキスされた。 吃驚して離れようとするけれど下がっていく俺の頭を晴さんが追いかけてくるせいで、唇がくっついたまま離れない。 ぽす、とシートに頭がぶつかるのと同時に舌が入ってきて俺の舌と絡まる。自然と息が上がって、俺の唇から零れる甘い声と水音が車内に響く。 俺にとってはすごく長い時間甘く甘く溶かされて、名残惜しいとでも言うかのように、最後にぺろ、と俺の唇を軽く舐めてから至近距離で晴さんがにやりと口角を上げた。 「ご馳走様」

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