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第26話
そのままぎゅうぎゅうと抱きついたまま晴さんの胸に顔を埋めていると、脇の下に手を入れられ軽く持ち上げられる。
吃驚しつつも晴さん力持ちだななどと考えていると、いつの間にか晴さんの膝の上に座って、向かい合わせにさせられていた。
重いだろうな、と腰を持ち上げ、両手をソファにつけてから晴さんの顔をみると、なんだか晴さんを襲っているような雰囲気にどきりと胸が鳴る。
視線を絡ませたまま暫く動けないでいると、腰に手を回されきゅうっと抱きしめられた。
「晴さんどうしたの?甘えたい?」
ぐりぐりと俺のお腹に頭を押し付けてくる晴さんは、スマートに会計を済ましていた人と同一人物とは思えないくらいに可愛くて、そんな姿を見せてくれることが嬉しくて、きゅんとした。
俺より背が高いせいであまり見ることのない晴さんの頭頂部は、慣れなくてむずむずする。よしよし、と大型犬を撫でるような手つきで少し低い位置にある頭を撫でる。
すると、ぱっと顔を上げた晴さんが俺の腰を抱いていた手に力を込めてきて、うわっと情けない声を出しながら俺は晴さんの上に腰を落とす。
近くに晴さんの顔が来ていたので、なんとなく察して瞼を落とすと、少し笑ったような息遣いを感じたあとに優しく唇を重ねられた。
車の中とは違って、ちゅっちゅっと軽いキスを繰り返すうちになんだか擽ったくなってきて、ふふ、と笑みが零れる。
薄ら目を開けると晴さんも楽しそうに笑っていて、おでこをこつんと合わせて2人で笑いあった。
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