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第37話
ほこほこした状態で風呂から上がると、晴さんも風呂場へと向かっていった。
俺は、会話しなくてよかったことにほっとしつつ、かばんから化粧水やらクリームやらを取り出す。
今日は風呂に入る前にやる運動が出来なかったので、保湿とストレッチをメインでやっていく。
お風呂で緊張が解き解れたのに加え、いつものルーティーンをすることでだいぶリラックスすることが出来た。
「優、なにやってるの?」
床に開脚した状態で座ってぺたりと上半身を倒している俺をみて、タオルで髪をがしがしと拭いていた晴さんが吃驚している。
「お風呂後のストレッチ〜。次はマッサージする」
よいしょ、と声を出しながら身体を起こすと、次はふくらはぎと太ももを揉んでいく。これをやるかやらないかでは次の日のむくみとかがかなり違う。
力が結構必要なので、頑張って揉んでいると、隣に晴さんが座ってきた。不思議に思って首を傾げながら見つめてしまう。
「俺も一緒にやりたい」
新しいおもちゃをみつけた子供のようにきらきらした瞳でみられて、ぱちぱちと瞬きを繰り返す。
そんなことを言われたのははじめてだった。
嬉しくて、頬がどんどん緩んでいく。
「うん!いいよ!えっとね、まずこうやってリンパをぐりぐりして一一」
マッサージはかなりの工程があるので、両足太ももふくらはぎを揉むだけでも30分くらいかかる。
でも晴さんは途中で飽きたりすることなく、まだあるのかよと呆れた視線を向けることもなく、最後まで一緒にやってくれた。
俺にとってそれは、奇跡のようなことで、晴さんをすきになってよかったな、と心から思う。
一一晴さんの1番は誰なんだろう。
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