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晴の過去

俺の生まれた家は、いわゆる財閥のような家だった。 世界有数の大企業であり、社長一族だったのだ。 そこの長男に生まれた俺は、父親から虐待ともいえるほどのスパルタ教育を受けていた。亭主関白だったので、母親は父に意見することなどできず、日に日に笑わなくなっていく俺を父がいない所で抱きしめることしか出来なかった。 細い母の腕の温かさに何度も涙を流した。けれど、何処か自身に対して不甲斐なさを感じていた部分もあった。 そんな生活にうんざりしていた俺は、15歳のときにアメリカに留学することにした。 正直、父親はいい顔はしなかったけれど、世界を相手に戦わなければならないのに自分の土俵から出ないならばそれは所詮井の中の蛙でしかないだろう、といえばもう何も言わなかった。 そして、そのアメリカで出会ったのが、元妻の、石田 璃々子( イシダ リリコ)だった。 璃々子はアメリカ人と日本人のハーフで、生まれてからずっとアメリカで暮らしていたらしく、とてもおおらかな性格だった。 また、父親が日本人ということもあり、日本語も流暢だったので、よく俺に話しかけてくれた。同い年だったこともあって、すぐに仲良くなった。 そんな俺たちが恋人になるのは時間の問題だった。 分からないところは互いに教えあい、2人で同時に卒業する頃には5年の月日が流れていた。 俺の隣に璃々子が、璃々子の隣に俺が、その居心地の良さにすっかり慣れきってしまっていた俺は20歳、日本に帰国する。着いてきてくれないか、というと了承を貰えた。 舞い上がっていた俺は、日本で過ごしていた日々がどんなものであったか、すっかり忘れていた。

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