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俺たちは共に日本へ行き、俺の両親と対面した。 父親は案の定顔を真っ赤にして怒っていた。 どうやらそれなりの地位をもつ女性と俺を結婚させようと思っていたらしく、日本に帰ってきたら選ばせてやろうとたくさんのお見合い写真を用意していたらしかった。 けれど、俺には璃々子以外有り得ない、と断固拒否し、璃々子と結婚させてくれないなら縁を切ってくれて構わない、というと流石の父も堪えたようで、唇をかみ締め、握りしめた拳を震わせながら好きにしろ、といって自室に戻って行った。 父の隣で顔面を蒼白にしていた母は、何かを決意したような光を目にたたえ、璃々子の手を握ると、なにかあったらいってね、私は応援する、と微笑んだ。 大丈夫です、と笑う璃々子をみて、俺も賛同する。 もう成人していて子供じゃないんだから大丈夫だと、2人で頑張ればきっと大丈夫だと、俺は本気で信じていた。 *** 俺は会社を継ぐために最も忙しいといわれている営業部へと配属になった。 社長令息ということもあり、最初は周囲が俺に気を使っていることがわかってとても気疲れしたが、常に柔らかい笑みを浮かべ、丁寧な物腰で対応するよう心掛けていれば次第に周囲の反応は接しやすいものになっていった。 そして、3ヶ月経つ頃には大方の営業先に挨拶を終え、かなり忙しくなっていき、残業で家に帰れなかったり、帰れたとしても遅い時間になったりする日々が続いた。 その頃からだろうか、璃々子の笑顔に陰が掛かり始めていたのは。

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