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パチン、とスイッチを切るような音がしてハッと顔を上げるとランプが消えていた。 医師が出てくるであろう扉に近づき、そわそわとしながら待つ。父も、俺の横に立った。 いかにも今手術していました、という雰囲気の男性が出てきて、その医師が口を開く前に耐えきれなくて俺が声を発した。 「璃々子は…無事なんですか!?」 「旦那さんですね。落ち着いてください。手術は無事、成功しました」 「そうですか」 そう言われ、ほっと息をつくも、何となく違和感を覚える。医師の顔も、父の顔も、なんだか冴えない雰囲気だった。 「…ただ、トラックと衝突した際、折れた骨が内臓を圧迫しており、頭部も強打されています。その為、脳や神経に大きな損傷がみられます。」 一瞬、何を言われているのか分からなかった。頭が思考を停止してしまったかのような感覚で、口を開いてもわなわなと震えるだけで声にならない。 そんな俺の様子を見兼ねてか、医師も心配そうにこちらをみている。 「大丈夫ですか?今後の医療方針について、お話しさせて頂きたいので、こちらにお越し頂けますでしょうか?」 がくがくと足も震え出した俺を見兼ねてか、父が俺の肩をだいて崩れ落ちないように支えてくれ、なんとか医師についていく。 「…神田璃々子さんは、なんとか一命を取り留めましたが、いつ急変しても可笑しくない状態です。もしかすると、もう目覚めない可能性もあるということだけ、覚えておいてください。今後ですが、ICUに…」 そこからの記憶はあまりない。なぜもっと早くに気づいてやれなかったのか、全然大丈夫じゃなかったじゃないか、などという自分を責めるようなことしか考えられず、グルグルと頭を回り続ける。 いつのまにか話が終わったようで、医師一高橋さんと名乗っていた-と父が立ち上がった。それに釣られて俺自身も立ち上がる。 もう連絡を受けてから何時間も経過しており、すでに10時近かった。 ふと視界に入った窓から見えた景色は、きらきらと輝く晴天で、俺とは正反対だな、と嘲笑を浮かべるとともに、アメリカ時代の璃々子の眩しい笑顔を思い出した。

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