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準備 微※
晴さんが連れて来てくれた店は、みるからにお高そうな雰囲気だったけれど、「せっかくだから2人きりでゆっくりくつろぎたいと思って」といって個室を予約していてくれた。
そのおかげで、俺も最初こそはガチガチだったけれど段々緊張も解けていってしっかりお肉の味も味わえた。
お会計はちょっと怖くて見られなかったけれど本当に美味しくて、食べるだけで笑顔になってしまうような味だった。
「晴さん、今日はありがとう」
「ん?全然いいよ。これから頑張るのは優だし」
にやにやしながらそういわれて、ぼぼぼっと顔が熱くなる。
「……晴さん変態」
「俺は別になんも言ってないけど?優こそ変態だね」
意地悪く微笑まれて、熱くなった頬を押さえながら上目遣いで少し睨む。
すると、「ごめんって」と優しく唇を落とされたので、なんだかどうでもよくなってしまった。
***
「晴さん、あがったよ」
「ん、じゃあちょっとまってて」
ほかほかして隅々まで磨きあげた身体で出てくると、長い足を組んでテレビを見ていた晴さんが立ち上がった。
そのまま俺の頭をぽんぽんと撫でて通り過ぎてしまう。
それからしばらくして、シャワーの音が聞こえ始めた瞬間、俺はベッドに飛び込んだ。
この、今からセックスをします、という雰囲気がとても気恥ずかしくてむずむずするけれど、とても充実しているような気もして、くふふと自然と笑みが浮かんでしまう。
思わず近くにあった枕をぎゅうっと抱きしめてじたばたしているとふわりと晴さんの香りが鼻をくすぐった。枕の移り香だった。
いまなら誰も見てないし、と思い切り顔を枕に埋めて息を吸ってみる。晴さんの大人っぽいけれどどこか甘いような、俺の大好きな匂いが肺を満たして全身を循環するのか、と考えると、変態っぽいけれど少し興奮してしまった。
うつ伏せになってぎゅうぎゅうと枕を抱きしめていると、急に背中にずしりとした重みを感じた。
びっくりして肩越しに振り返るも、俺よりも大きくて立派な身体にのしかかられていて動くことは出来ない。
そう思っていると、ぐいっと顎を引っ張られてキスをされた。急に酸素が少なくなって、首も痛くて、なんだよもう、と思ったけれど、くちゅくちゅと舌を絡め取られ、上顎や歯列の裏を舌でなぞられるとぞくぞくしてしまい、自分から仰け反ってしまう。
すると晴さんの両手が俺の胸元に伸びていった。いわゆるネグリジェのような、前で簡単に合わせられている服では防御力なんてほとんどなく、焦らすように周りをくるくると撫でられているだけで甘い声が鼻から抜けてしまった。
仰け反った状態なのが、自ら触って欲しがっているかのように思えて、とても恥ずかしかった。
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