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電話

なんとか食事を終え、2人でソファに座る。後ろに感じる晴さんの体温が心地よくて、そのまま寝てしまおうとした時だった。 俺の携帯が鳴った。仕方が無いので机に手を伸ばし電話に出ながら晴さんにもたれる。 「はい」 『もしもし、優兄?久しぶり』 その声を聞いた瞬間、発信元を見なかったことを悔いた。 「……なんの用?」 思わず声が低くなる。コイツから電話が掛かってくる時はろくな事じゃない。そのことは俺がよくわかっていたため、警戒してしまう。 なにかを察したのか、テレビを消して安心させるように俺をぎゅっと抱きしめてくれた。 そのことに強ばっていた身体が弛緩したように感じられて、ありがとう、という気持ちを込めて笑いかけるとにこりと笑い返される。幸せ。そう感じた。 『一一ちょっと、聞いてんの?』 「あー、うん。聞いてる聞いてる。で、なんの用?」 『だーかーらー…どこにいんの?俺今優兄の家の前にいるんだけど』 「「え?」」 俺と晴さんの声が重なる。どうやらすごく近くで話していたせいで聞こえていたようだった。 『ん?誰かといるの?』 はぁ、と溜息を1つ漏らした。 「恋人と一緒」 『あー…じゃあ1回鍵だけ渡しに来てくんね?とりあえず中で待たせてよ』 視線でいい?と問いかけると、頷かれる。 「…わかった。まってて。」 『あ、そうそう。しばらく優兄の家泊まらせてね~~』 そう言って電話を切られた。嵐のような電話に暫くぽかんとしていたものの、すぐにむかむかとした気持ちが湧いてくる。ふざけんなって今すぐ言ってやりたかった。 「え~っと、優?勝手に話聞いちゃってごめん」 それを自身に怒ってると勘違いしたのか、晴さんが申し訳なさそうに眉を下げて謝ってきた。 「いや、全然大丈夫だよ!!それより突然ごめんね」 「俺は気にしないで。それより、優、弟いたんだ?」 「……うん、俺の二つ下の弟。(ゆき)っていうんだ。」

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