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兄弟

「あ、別に悪いやつじゃないんだよ、倖も。ただ、ちょっと…話しにくいというか、なんていうか…」 別に俺たち兄弟の仲が悪いという訳では無い。 ただ、とある事件から、俺が家族と疎遠になってしまっていただけで一一 「俺の家に着くまででいいから、ちょっと話聞いてくれる?」 こくりと頷かれたのを確認してから、ぽつりぽつりと語り出した。 元々、伊原家は3人兄弟だった。歳は、丁度2つずつ離れていて、上から柚、優、倖。俺は真ん中で、いつも兄ちゃんに甘えていた。 けれど、そんな俺にもやはり反抗期というものがあって。特に兄に懐いていたぶん、少しうざいと思った時から、もう止まらなくなっていた。 本当はそこまで思っていなくても、1度口を開いたらつらつらと悪口が出てくる。そんな自分も、それを笑って受け止める兄も嫌で、高2の冬からあまり口をきかなくなっていった。 倖はそんな俺たちを複雑そうにみていたけれど、別段なにか行動を起こすわけでもなく。夜は友人たちと遊びまくって母や父に「中3なんだから受験勉強しなさい」と怒られていた。 忘れもしない、4月。 倖の高校入学祝いに、久しぶりに3人で遊ぼうと兄に呼び出され、駅に集まった。 その頃には反抗期も落ち着いていて、今まで酷いことも言っていたし、と大学生の兄の為にちょっと高価な時計を買った。渡したら、どんな反応をするんだろうか。そんなことを考えながらるんるんで足を進める。たぶん、それがよくなかった。 「危ない!!!」 そう聞こえた瞬間、何が起きたのかわからなかった。 気づいたら俺は歩道に投げ出されていて、目の前には真っ赤ななにかと、それを流して倒れている兄。 「柚兄!」 倖の声が後ろからきこえて、兄に駆け寄る。そこでようやくハッとして、けれど足が震えていたため立つこともできなかった。地面を這いつくばるようにして近づいていく。 「に、にいちゃん…?」 呼びかけて、揺すっても反応しない兄。とにかく流れてくる赤い血をとめなければ、と兄の後頭部を必死に抑えて止血を試みた。 けれど、俺の手がどんどん赤に染まっていくだけで全く止まる気配がない。 倖の泣き声が聞こえる。柚兄、柚兄。 本当なら今頃最高の笑顔を見ていたはずなのに。どうしてこうなった、と頭の中を嫌な気持ちがぐるぐると回った。そして俺の視界は、真っ黒に染まった一一

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