84 / 96
準備
一一あれから、3ヶ月。
今日は、兄さんの結婚式だ。
「どう?晴さん、変じゃない?」
晴さんの家にスーツとかも持ってきて泊まっていたため、くるりと一回転してからじゃーんと両手を広げてみる。
「ん、いいね。似合ってる。はい、ここ座って?」
ちゅっと軽く口付けを落とされ、くすぐったさにふふ、と笑みを零していると、軽く手を引かれて椅子に座らされる。
なんだろう、と思っていると、俺が使おうと思っていたコテを晴さんが手に取る。
「えっ!いいよ、自分でやるよ?」
「んーん。俺にやらせて?」
「……んじゃあ、俺も晴さんの髪弄らせてね」
そう、実はあれから晴さんのことも紹介した。父さんは、少し偏見があるようでいい反応を示さなかったけれど、母さんと兄さんは、俺に大切な人が出来たことを喜んでくれた。
そして、今回、結婚式に晴さんも招待してくれたのだった。
俺のミルクティ色の髪に、少しずつウェーブをかけられる。前髪を立ち上げられ、そっと横に流す形でワックスをつけた。
さらさらと晴さんの指が髪を梳く感触が心地いい。
「はい、出来た。どう?」
「うわぁ、なんか、俺がイケメンに見える!」
「喜んでもらえて良かった」
「……ありがとう」
そういうと、優しく微笑まれる。
「はい!次は俺の番ね。晴さん座って?」
晴さんの綺麗な黒髪を、ミックス巻きの容量で手際良く巻いていく。俺は、前髪をおろしている晴さんがすごく好きなので、少し強めに巻いて、熱が冷めたところでワックスをつけ、束感を遺しながら解していく。
普段は流しているため、大人っぽくてかっこいい印象の晴さんも、少し幼くなりつつもかっこよくなるようにした。
「ん、どう?結構いい感じにできた気がする!」
「なんか新鮮で、わくわくする」
最後に軽く触れるだけのキスをした俺たちは、手を繋いで家を出た。
ともだちにシェアしよう!