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準備

一一あれから、3ヶ月。 今日は、兄さんの結婚式だ。 「どう?晴さん、変じゃない?」 晴さんの家にスーツとかも持ってきて泊まっていたため、くるりと一回転してからじゃーんと両手を広げてみる。 「ん、いいね。似合ってる。はい、ここ座って?」 ちゅっと軽く口付けを落とされ、くすぐったさにふふ、と笑みを零していると、軽く手を引かれて椅子に座らされる。 なんだろう、と思っていると、俺が使おうと思っていたコテを晴さんが手に取る。 「えっ!いいよ、自分でやるよ?」 「んーん。俺にやらせて?」 「……んじゃあ、俺も晴さんの髪弄らせてね」 そう、実はあれから晴さんのことも紹介した。父さんは、少し偏見があるようでいい反応を示さなかったけれど、母さんと兄さんは、俺に大切な人が出来たことを喜んでくれた。 そして、今回、結婚式に晴さんも招待してくれたのだった。 俺のミルクティ色の髪に、少しずつウェーブをかけられる。前髪を立ち上げられ、そっと横に流す形でワックスをつけた。 さらさらと晴さんの指が髪を梳く感触が心地いい。 「はい、出来た。どう?」 「うわぁ、なんか、俺がイケメンに見える!」 「喜んでもらえて良かった」 「……ありがとう」 そういうと、優しく微笑まれる。 「はい!次は俺の番ね。晴さん座って?」 晴さんの綺麗な黒髪を、ミックス巻きの容量で手際良く巻いていく。俺は、前髪をおろしている晴さんがすごく好きなので、少し強めに巻いて、熱が冷めたところでワックスをつけ、束感を遺しながら解していく。 普段は流しているため、大人っぽくてかっこいい印象の晴さんも、少し幼くなりつつもかっこよくなるようにした。 「ん、どう?結構いい感じにできた気がする!」 「なんか新鮮で、わくわくする」 最後に軽く触れるだけのキスをした俺たちは、手を繋いで家を出た。

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