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はじまり
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春の風は生暖かくて眠くなる。今年も大学の校門前の桜は綺麗に咲いていたらしく、散りかけの花びらがすごく地面に舞い降りていた。それを見ながら、空いているベンチに座って、俺は、ぼーっと空を見ていた。
今は、大学に入って2年目で、講義内容は、去年の1年は必修が結構つまっていたんだけど、今年からは割と楽々な時間割になる。
だけど、どうしても外せない講義をとって行くと、かなり時間が空いてしまう曜日もあるんだよね。
その時間が空いてしまう曜日は今日で、午前中のこの時間の講義がおわって、今度は午後の遅い時間からの講義があるんだ。
時間が中途半端に空いている。今日はこのままさぼっちゃってもいいかな?とか考えていた。
今年に入って、親から、仕送りを止められそうだから、バイトを探さないといけないし。色々さがしてみているんだけど、何処も全然ピンと来ない。どうしたものかなあ。とか思っていた。
すると、2年で同じサークルの三木が俺の所に来た。
「なーバイト探してるんだって?いいバイトあるよん」
「何?どういうの?」
三木は俺に小声で言って来た。
「ホストのバイト」
「ええ??ホストぉ?」
それを聞いて俺は思わず聞き返してしまった。
「声でかいよ。ホストって言ってもさ、店とかに毎日出るんじゃないやつだよ」
「えーでも、俺、そういうお客にお世辞とか言うの下手だし」
ホストといえば、金持ちのおばさんとか相手で、なんかいっぱい褒めないといけないイメージがあるんだよね。
「いや、違うよ。大丈夫。お前は、身一つでやればいいんだし。空いた時間だけでもいいんだよ」
三木はにこにこしていた。なんか、ものすごく怪しい…。
「空いた時間って…。」
「例えばさ、授業が1時間目で次がの4時間目とかだとして、その間の時間だけでもおっけーってこと」
ソレ、まさに今の俺状態。とっている講義のせいとはいえ、少なくとも前期はこのままだ。
「え?でも、昼間なのにありなのか?ホストって?ふつー夜じゃないの?」
「あ、興味あるねー?よかった。じゃこれから、見学だけ行こうよ?どーせ暇でしょ?」
暇って、決め付けるなよ。でもまあ、暇なんだけどね。
なんだかんだ言われて俺は三木に強引に連れていかれる事になった。行きがてら、三木に色々説明をうけた。どうやら、そこは、出張ホストとか言うやつらしい。
「めちゃくちゃあやしいよ?」
「平気、平気、俺もやってるし、普通のホストよりか楽だし。ノルマないし」
ってか、出張って、それって、
「えーそれって、おばさんとかのH相手って事??」
それは、嫌だ…。っていうか、それって、全然ホストじゃないし…。やっぱやめよう…。と、思って、三木に言ったら。
「あー。おばさんはいないから大丈夫だよ」
「え?若いの?みんな?」
「若いのもいるけど、おじさんもいるよ。行けば分かるよ。」
え?何??『おじさん』ってどーゆ事??
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