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源氏名は雅(みやび)?
三木に連れられて行くと、あっという間に店に着いた。学校からすごく近い。学校がかなり便利なとこにあるからなのもあるけどね。
そこは、マンションの一室だった。ドアには『Black'nBlue』と書いてある。思い切り怪しい。すごく怪しい。
出て来たのは中年過ぎの男で、なんだか物腰が柔らかい感じの人だった。
「あ、淳ちゃん。その子が、さっき電話で言ってた子?」
「淳ちゃんって?」
俺は思わず三木の方へ振り返って聞いた。
「源氏名だよ」
何?源氏名って?俺も付けられちゃうわけ…?たしか、三木の名前は三木吉蔵。そりゃじいさんみたい名前だし。源氏名のほうがいいんだろうけど。
「こんにちは、私が店長の中川です。よろしくね。えーと、君の名前は何だっけ?」
「鮎川 雅人です」
「あ、そうそう淳ちゃんから聞いてたんだ。それ本名??いい名だねー。源氏名そこからとって、雅(みやび)でいいねー」
「み、みやび??」
「さすが、淳ちゃんお勧めの子だけあって、かわいいしきれいだし。いいね~。うん。即決だよ、すぐにでも、お願いしたい。今日、見学だけじゃなくって、体験も出来るよ?やってく?」
「……え……」
何故そうなる?今日はただ見てくだけって言ってたよね?おろおろしていると、店長はデジカメをもってきた。
「プロフィール用のね、写真撮るね」
えっ、ちょっとまってよ…。俺がびっくりしているまもなく店長は、撮りはじめた。
「あ、かわいい。コレ使っちゃお」
店長はそう言いながら、デジカメをもってきて、撮った写真を見せてくれた。
「コレ使うね。コレ、うちのHPに載せるね。かわいいし。なかなかいいよ」
そこには、なんか不安そうな顔の自分がいた。
「載せるって、まだ、やるって決めたわけじゃないし」
それに、詳しい説明も受けてないじゃん。ってか、何故やるのが前提で話が進んでる??
「んー。不安?最初は、ヘヴィなのはやらせないし。客も選んであげるよ。それに、うちの客は質もいいし。みんなある程度地位のある人ばかりだし」
「ちょっと、まって、下さい」
俺は奥に行った三木をそっと呼んだ。
「ちょっと、俺、やるって言ってないし、なんで話が進んでるの?」
三木はなんだか、バツの悪そうな顔をしていた。
「いやー、ごめん、誰かいないって言われて、お前を勧めちゃったんだよ」
おい、それってどういう意味だよ???
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