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とりあえず体験
「ったく、いてえよ…。」
そこには茶髪でロンゲで、なんか、危ない商売風の男がいた。…違う意味でやばい…気がする。そいつが俺の顔をじっと見た。
「ん…?…みかけない顔だね…?」
「この子ね新人の子」
え…。今、なんと?『新人の子』って?
「新人の子か…。ふーん。」
そいつが値踏みするように俺をじっと見る。…すごく怖いんですが…。
でも、目は怖くないかもしれない。顔も、浅黒くて、なかなかかっこいいかも…?それに、意外に若い感じ?
だけど、やっぱり何処をどうみてもまともな職業風じゃないんですが…。
とか、色々考えていると。
「いいねー。店長、この子いい?」
……え……。
「俺、働くって言ってないし」
って言っても全く聞いてないよ。
「じゃ、体験って事でいいね。体験でも、ちゃんと、給料払うからね」
えーーー!!?
固まっている間になんだか話がどんどん進んで行ってしまって俺はなんだか断れない状況になってしまった。
この店は、直に客んとこ行くパターンと、店で待機してそいでもって、客がきてチョイスされてデートへ行く場合があるらしくて、俺が居たのはチョイス部屋だったみたいだ。仕切りのないネットカフェかマンガ喫茶みたいになってたとこに、そういえば他に誰かいたような。
ってか、それはよく聞く女子がやるデートクラブの男子版ってこと????
とりあえず体験だけだし。なんとか切り抜けられるか?とか思っていたけど、
きた。
車だよ。BMだBMW…。
そういえば、小学生の頃、知らない人に着いて行っては行けませんとか、知らない車に乗らないようにとか、色々言われてたんですけど。
俺、今それやろうとしてます。
車に乗ったら逃げられないじゃん。
どーする?
「君って、初めての子だろ?だから、あんまり、無茶させないからね」
そいつがニッコリした。
「無茶」ってナンです?…。って考えたくないよ。
「俺、こう見えても、会社社長なんだよ。きちんとしてる会社だよ?IT系のベンチャーだけどね」
昼間からこんなとこで男買ってるやつなんか、まともな奴じゃないよ。とか思っていたら、そんなことを言った。
「君って、たしか名前、雅ちゃんだよね」
そ、そうだ、そんな名前を付けられた気が…。
「…はい。」
「俺。翔平。木戸翔平。よろしくな」
木戸翔平って何処かで聞いた事があるような。
「俺、君みたいな初々しい子が好きなんだ」
初々しい子って、俺か…。ただの変態野郎かよ。
軽いデートだけ、じゃすみそうじゃないかも…。と思ったのは、車が怪しい建物の方向へ行ったからだ。車がとまった時にパッと逃げてやる。店なんて関係ないし。
「最初の子には無茶させないって言ったよ?怖いの?」
俺が外に出ようとひたすら考えてて他に注意散漫になっていたせいか、車を駐車場に入れたとたん。木戸が突然、俺のシートを倒して、くすっとわらった。
「じゃ、こうしようよ。」
俺に行き成り、キスしやがった。
それと、同時に気を失った。
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