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バックレだ!

……………… …… … 講義が終了がして、俺はそのまま机につっぷしていた。 "俺、死ぬわ……" あれから木戸は"すぐ仕事に行かないと"とか言ったくせに、しっかり俺とシャワーを浴びて行った。 もちろん、俺は、色々されたよっ! それから、店長とこへ行って大学に来た。へろへろだったので、講義なんて頭に入んない。 今日の最後の講義をサボらないで来たのは自分でも偉いと思う。 三木を殴ってやりたいって思いながら来たんだよ。 机につっぷしていると、頭の上から声がした。 「よぉ!雅ちゃん!」 陽気なその声は…。顔を上げると。 「三木…!」 三木を殴りたかったけどその気力もなかった。 「雅ちゃん、すっごく、気に入られたんだってぇ??で、すぐ、再予約なんてスゴイじゃん」 「雅、言うなっっ!お前、よくも、騙したよなっ!?」 「だって、お前、酷い事された?」 「されたに決まってるだろ!」 思わず声を荒げてしまった。 「酷い事じゃなくってさあ、『気持ちいい事』されたんでしょ?」 「……それは……」 「それに、お前、いっぱい貰ったはずだよん。こんないいバイトないじゃん」 三木はにこにこして言った。そういう問題か?たしかに、給料は沢山貰えたんだけど、でも、それだって納得いかない。 「多分、お前、新人の中でベストワンになれるよ」 「なんで、そんな事」 「だって、木戸翔平に気に入られたんだよ?」 「だから…?」 「よく、見なよ」 なんだそりゃ~~?あの、変態野郎のどこがなんだっていうんだよ? 「……俺、もう行かないから」 三木にそう言うと、教室を出た。……くそっ!気力と体力がもどったら、こいつぶん殴る。 「ちょっと、鮎川!!辞めるんだったら、ちゃんと店長に言ってよな」 辞めるんだったらって、最初っからやるなんて言ってなかったし。バックレだバックレ。あんなバイトなんて二度としないから。 もう家に帰って、そのまま、何も考えずに寝てやる。 ……… そして、その日は自分のアパートに着いてから本当にそのまま寝てしまった。何度か、携帯が鳴ったみたいだったけど疲れていたのもあるし、ほっといて、ひたすら寝ていた。気が付いたのは、次の日。窓からは日が差していたし多分、昼近くだろう。 ベッドの上でぼんやりしていると、携帯が突然鳴った。思わず出ると、『Black'n Blue』の店長だった。 .

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