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まだ辞めた事になってない
「大丈夫?雅ちゃん?風邪みたいなんだって?」
え?何?風邪ってどういうことなんだ?頭にいっぱい"?(クエッションマーク)"が浮かぶ。
「……あの……」
「淳ちゃんから聞いたわよ~」
ってなぜ、店長はおねー言葉になっているんだろう?
「何度も電話しても連絡つかないから心配したわぁ。翔平ちゃんすっごく心配してたわよ~」
そういえば昨日あれから予約いれたとかいってたっけ。でもソレ、バックレたんだ。
どうやら、何やら三木のやつが"俺が風邪をひいて寝込んでいる"とかって言って『親切に』根回ししてるみたいだ。
ってか、まだ辞めた事になってないのか?辞めたって言ってないからか?
でも、その前にやるって言ってないんだけど……。
とりあえず辞めるって言わないと。
「……あの…俺、もう、そこで、働きませんから…。ってか、やっぱり合わないし」
暫くの沈黙。やばっ、なんか怒ってる?
「翔平ちゃんのせい?あの人、難しいから…。雅ちゃんの事すんごく気に入ってたのからよかったと思ったのに」
だから、色々されて、いやだったんですってば。
「……とにかくもう、やる気ないですから…」
「…そう、じゃ、しょうがないわね、いつでもいいから、一度こっちに顔だしてね」
なんで、また行かないといけないんだろう…。とか思っていたら、どうやら、給料に渡し忘れた分があるって言っていた。
そんなの要らないとか言いたかったけど。マジな話ホントに今月は厳しい状況なので、やはり有り難く貰うことにした。
別の日に行くのも面倒くさいので、今日貰いに行こうと思った。
だけど、まだ、ちょっと眠いから寝てようかな……。
今日は、本当は、講義がびっしりある日なんだけど行く気がしない。
サボりを決めた。
起きた今はもう昼近くだったし。たしかに大学とここは近いけどでも面倒くさい。
すこし、俺は、うとうとしていた。そして、そのまま、また、寝てしまったようだった。
……
……
………どのぐらいの時間がたっただろう?
なんか世間が暗い。窓の外が暗くなっていた。
頭も痛い。多分それは寝過ぎの所為だ。途中何度か目が覚めたけど、かまわず横になってたらすっかり、夕方すぎで薄暗い。
さすがに、朝から何も食べてないから、お腹が空いた。家には…そういえば、何もない。
今日、あの店、行くんだっけ?ホントめんどくさくなってきた。でも、明日ならもっとめんどくさいだろうし。店もここからも近いといえば近いんだよな。
行き掛けになんか食べるか?と、思いながら家を出てみると、辺りは薄暗さがますますましてきていた。
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