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Blue Oyster
「いいから、部屋からもう出て行ってくれる?」
「なんで?」
「邪魔だと思わない?俺と雅ちゃんのあまーいひとときなんだよ?」
「それなんだけど、雅ちゃんのこと心配して来て見たら、あんたが押し倒してるじゃない?ふつー襲われたとかいう子にすぐそういう事しないデショ?この、ケダモノ」
「ケダモノって。そんな。なあ、俺は違うよね?」
って俺に聞くな。
「……えっと……それは合ってるかも?」
「え……」
軽いショックを受けている木戸。
つかさんざ色々したくせに自分はそうじゃないと思ってる感覚のほうがおかしいと思う。
「……そういえば、あの後、あの男ってどうなったんだろう?」
思わず呟くと、木戸は再び怒りが湧いたように言う。
「雅ちゃんを襲った強姦魔?あいつはぜってー許さない。俺がもう少し遅く雅ちゃんのとこに行ってたら……と思うと」
その時の事を思うと震えとあと木戸の前で泣いちゃった事とか色々思い出して心の中がものすごく修羅場になる。
「ほんとに……木戸さんが来てくれて……」
嬉しかった……。でも、
「なんで来れたの?」
そんな理由なんていいんだけど偶然にしろ何にしろ来てくれて嬉しかったのは同じだし。
「それ、叔父さんから雅ちゃんが風邪って聞いたし、店にまた一回来るって言ってたから心配で店の方まで少し寄ってみたんだよね。それで、雅ちゃんぽい子が変な男に引きずられてて……」
「ほんとに、翔ちゃん凄いタイミング。こういうの運命っていうのよね」
「それにしてもあいつ。雅ちゃんの顔に傷つけるとか。半殺しにしてやってもよかった」
「あんたも一応は社長だし。そんな事したら、やばいでしょ。だけど、おねーさんの所にわたしたから、多分それなりの事にはなってるんじゃないの?」
そこで、何やらおねーさんとやらが行き成り出て来た。それって誰の事?
「おねーさん?」
「うん、そう、うちの柔道部のおねーさん」
店長が答える。柔道部?とは?
俺がきょとんとしているのを見て店長が少し笑いながら言った。
「『Blue Oyster』っていうオカマバーもね、やってるんだけど、そこのママって昔、柔道やってたの、すごく強かったのね」
「俺がボコして、後は渡したんだよ」
店長と木戸が顔を見合わせてくすくす笑っていた。
そういうおねーさん?に渡しといたって事は・・・?
あはは。俺は顔が引きつった。
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