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倉沢
「倉沢先生?」
そこには、大学の講師の倉沢がいた。
PC技術系の資格を取る講義をしている講師だ。そういえばこの前、翔平のBMWを見てなんか言ってたよな。
眼鏡を掛けていてとても神経質な感じがする人で、俺は少しとっつきずらいなと思っていたんだけど。
なんでこんなところにいるんだろう?と思ったけれども、この辺りは大学とさほど離れていない場所にあるからだというのに気が付いた。
「……大丈夫ですか?顔色悪いですよ?」
倉沢は、ふらついていた俺を心配してきて言った。
「大丈夫です。サークルのコンパで、ちょっと飲みすぎたせいなので」
「そうですか?飲みすぎは良くないですよ?少し、落ち着くまで休んだほうがいいですよ?」
……何処か、喫茶店とかでコーヒーとか飲みますか?落ち着くかも?そう、倉沢は言ってきた。
「私も、コーヒーを飲もうかなと思っていたんですよ?」
そこの駅前に出来たコーヒーショップなかなかいいですよ?割引券もらったんでどうですか?と言いながら、倉沢はエスコートするかのように俺の肩に手をかけて連れて行った。
……あれ?
何かすごく変な感じがするけど、なんだろう?
きっとこのままだと気分悪くなりそうだったので、ま、いいかと思いつつ倉沢に付いていった。
………
………
倉沢に連れてこられたカフェは所謂スタバ風のカフェだった。カウンターで、いざメニューを見てみると、急におなかが空いてきて、腹にたまりそうなものを色々注文してしまった。
「鮎川くんって面白いですね」
「え?」
「だって、気分が悪いのかと思っていたら、そんなに食べられるんですね?」
くすくすと笑われてしまった。
「あ・・」
「いいですよ沢山食べて下さい。ここは私が奢りますから、気にしないでくださいね」
「す、すみません。俺ったら……」
すっかり自分で料金を払うつもりでいた。んだけれども、そうだ、こういう場合は目上の人は奢るっていう考えで来てるもんだよな。うわ、なんかもっと気を使ってコーヒーだけとかにすればよかった。
やっぱり酔ってるよ。普段ならもっと気を付けるのに。
「こんな事なら、どこかレストランにでも食事に行った方がよかったですか?」
「あ、いえ、そんなことないです」
向い合せに倉沢と座って、頼んだサンドウィッチとか色々ひたすらもぐもぐ食べたらやっとお腹が落ち着いた。すると、倉沢がホットコーヒーを飲みながら、俺をじっとみつめているのに気が付いた。
「ほんとに、鮎川くんは……面白いし、かわいいですね」
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