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既視感?

あれ……?コレ? 何か既視感があるんだけど…… 「あの、ちょっとトイレ行きます」 頭を冷やそう……。 いやいや……俺の事『かわいい』とか言うヤツは……翔平以外にはいない…。いるハズはないよね? というか、まさか、倉沢先生も翔平みたいなヤツなわけ?ありえない。 だけど、何か危ない感じがしたので、早々に倉沢と離れて、早く帰ったほうがいいかもしれない……。 席に戻ると倉沢に早速、 「俺、遅くなるんでもう帰りますね。あの、ごちそうさまでした。ありがとうございました」 と言ってペコンとお辞儀をした。 「そうですか?じゃ。あ、飲み物、全部飲んでからいかれたらどうです?お酒飲んだ後は喉、渇きますから。帰りまた喉渇くといやでしょ?」 倉沢はにっこりわらって言った。 俺はコーヒーじゃなくって、ジンジャーエールを飲んでいた。カフェでジンジャーエールとか邪道なような気もしたけれども、なんとなくこっちのほうがさっぱりしそうだったからだ。 「じゃ、そうします」 3分の1ほど残ったジンジャーエールを一気に飲んだ。 「駅まで一緒にいきましょう」 倉沢が席を立って、俺も席を立った瞬間。 頭がぐらっとして、そしてなんか足元がふわふわで……立ってられない。 "あ……" 倒れると思った瞬間。倉沢にぐいっと腕を掴まれた。 「大丈夫ですか?気持ち悪い?」 倉沢は俺を優しく抱き起こしてそのまましずかに立ち上がらせた。でもなんだか自分がきちんと立っている気がしない。地面がまるで斜めになっているみたいだ。 いきなりどうしたんだろう?やっぱり悪酔いしちゃったのかな?酔い冷めたと思ったのに。 「すこし休みますか?」 倉沢の声が頭に響く、頭がぐらんぐらんして思考が止まったままだ。 「休むって?何処に……?」 話すのもやっとだった。 「タクシーで行けばすぐのところに私のマンションがあるから休みましょう?」 え?どういうこと?? 「酔いに効く漢方薬がありますから」 それと同時に急に頭の中の明かりが消えたみたいに暗くなった。 最後に見たのは俺を支えて、軽く微笑んでいた倉沢の顔だった。 ………… …… … .

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