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罪作り?
…………
……
…
それからしばらくしたある日。
「ねーねー。雅ちゃん~~?」
この声は、またしても三木だ。
「雅、言うなって言ってるだろ!!」
このやりとり、もう何度やっていることか。
「いいじゃん。……っていうか。あれは何?」
三木が指さす方向には……。
ああ。そうなんだよ。
「雅ちゃんの出待ち。木戸さんだけではなく今度は倉沢先生も?」
そうなんだよっ。
最近、倉沢も俺の講義が終わるのを待ち構えている。
翔平は大学構内のほうにはこないのでいいけど、倉沢は、堂々と来て俺と絡みたがる。
なんだかなあ……。
三木にはその事情を説明したけど。
「ってか、鮎川……雅ちゃんってさ、結構罪作りだよな?」
三木はそう答えた。
「罪作り?」
「だって、考えようによってはさ、鮎川はモテモテなんだよ?社長の木戸さんとかさ、将来有望な倉沢先生とかさあ」
それって、俺が「女」だったなら良い話って思うんだけど……。いや、本当に何の乙女ゲーですかこれって感じ。
すると、いきなり、三木が、
「ねえ?俺もソレにのっていい?」
とか言ってきた。
「え?ソレってどういう事?」
「俺も、雅ちゃんの追っかけしていい?」
ナニソレ???
「いいかげん鈍感だから言うけどさあ。俺だって結構、鮎川のこと『気に入って』るんだよ?」
はい????
「ねえ?鮎川~俺がさあ。あの店でさあ。働いてるの知ってるだろ?」
「知ってるもなにも、お前に紹介されたんだろが?」
「俺さ。あの店の数少ない、難しい女の客ばっかり担当なんだけど。でも、俺、お前みたいに、男の客もいたんだよ??」
"・・・でもそれは、ヤラレルほうじゃなくってヤルほうなんだ"
三木は小さく囁くように言った。
「へ?」
「俺はお前ならタダでいーからヤリタイよ」
はい??ちょっと何言っているのか分かんないです。
顔が引きつる。
「俺はお前とは友達でいたいからいい!!」
そう言って、その場から急いで去った。
これマジヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。
とりあえず、三木は却下。
倉沢だって却下だ。
ってかさあ。これ以上やっかいを増やさないでほしい。
はあああ。
とため息をついて俺は学校を後にした。
大学の脇の道路に止めてある車に翔平がいた。もちろんいつものBMWだ。
にこにこした翔平が俺を呼ぶと、
「翔平。なんだかもう、疲れた」
思わず翔平に言ってしまった。
「じゃ、気晴らしにまた行こうか??思いっきり、楽しもうよ」
え?
「なに?」
「今度はヘリコプターじゃなくってクルーザー貸切っていうのどう?」
もうそういうのヤメテーーーー。
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次回更新は明日深夜すぎ予定!いよいよ明日で最終です
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