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それって?
翔平に出会ってからかなり経っているけど、最初の出会いが衝撃的過ぎて思い出すたびにちょっと頭がくらくらする。出会いの事は他の人には言えないよな。
そんな事を思いながら、目の前の仕事をひたすらこなしている。
隣で、翔平がなんだか他の作業をしながら俺をちらちら見て独り言なのか俺に話し掛けたいのかよくわからないような具合に
「最近雅ちゃんは冷たいよなー」
とか言っていた。
その翔平の顔をじっと見つめて、俺は再び、溜息をついた。
「……わかりました。書類の処理はもう粗方終わってしまったので。本日は業務終了です。だから。もうここからプライベートです」
それを聞いた翔平はすごく嬉しそうな顔をして、そのまま俺に抱き付いてきた。
「ここではちょっとやめて……」
「大丈夫。もう、ここの部屋の鍵しめちゃったし。誰も来ないし」
「だから、俺、もう色々疲れて無理…だ……」
そんな言葉も無視されて、翔平は深く深くキスをする。
「俺がもう色々雅ちゃん不足。色々無理……だけど……そうだ」
翔平はパッと俺を抱きしめるのを止める。不思議に思って翔平を見ていると、かなり神妙な顔で何やら話し始めた。
「……とても大事な事を話したいんだ」
「何?どうしたの改まって?」
「ねえ、俺たちさあ、一緒になろう」
「もうなってるよ?」
「そうじゃなくって、本当に一緒になるんだよ」
「どういう事?」
「籍を入れるんだ。雅ちゃんが俺の籍に入るんだよ」
えええええ?それは。
「け、結婚ってこと?」
「そうだよ?」
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