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鷹取光輝02

 あと一週間で学年末試験だというときに、体調を崩してしまった。  学校内でもインフルエンザが流行っているから、うつってしまったのか。こんなときに。タイミングが悪い。怖々体温を測ったが、三十七度二分。体感では三十八度以上はあるものだと思っていたから、拍子抜けすると同時に、急に高温になっていないのならとりあえずインフルではなさそうだと自己判断する。一晩寝たら大丈夫だろう。  実際次の日は少しマシになっていた。でも、微熱はしばらく、だらだらと続いた。朝は大丈夫だと思ったのに、昼を過ぎるともう、授業の内容がちっとも頭に入ってこなかった。  癪だったがこんなときは、車での迎えが有り難かった。車に乗り込むなり、思わず背もたれに身体を預けて、深い息を吐いていた。バックミラーの中で、早坂の目が動いたのが分かった。こんなときだけ早坂は目敏い。たいしたことはないと何度も言ったのに、最近では熱の出ないインフルエンザもありますから、と、病院に連行されてしまった。  しかし検査の結果はやはりインフルではなく、ドラッグストアでも買えるような風邪薬を処方されて終わってしまった。「ほらみろ、大袈裟なんだよ」  むしろ病院に行ったことで疲れてさらに熱が上がった気がする。まったく余計なことばっかしやがって。けれど早坂はいつもと違って妙に頑固で、いつもは息するみたいに言う「すみません」も、今日は一言も発しなかった。それどころか、「念には念を入れておくに越したことはないですよ」「坊ちゃんは自分の体力を過信しすぎです」なんて説教じみたことを言う。「最近、夜も遅いんじゃないですか? 駄目ですよ、睡眠だけは削っちゃ」  うるさい。お前に何が分かる。オメガだから、発情期があるからしかたないと、向上することを諦めてしまっているような奴に言われたくない。  でも言い返す気力もなく、車の中で、いつの間にか意識を手放していた。

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