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鷹取晃人02

「修哉は今、家にいるんだよな、ひとりで」 「そうだけど……って、まさか……」  答えないまま歩き出すと、彼女は慌てて追いかけてきた。 「やめといた方がいいよ」 「でも……だって……きっとひとりで心細い思いをしてるだろ」 「だってお兄ちゃん、アルファじゃん」  ふりむくと彼女は、含みのある笑みを浮かべていた。今一番、直視したくない表情だった。 「アルファはアルファの方で大変って聞いたことあるよ、発情してるオメガの近くにいると。それともお兄ちゃん、つがいになってくれる? ……あ、いいね、それ、うん。何となくの思いつきで言っちゃったけど、そうだ、それがいいよ。お兄ちゃんが修哉兄ちゃんのつがいになってくれたら丁度いい。あー、でもやっぱ複雑かなー、よりにもよって修哉兄ちゃんに取られちゃう、ってのはなあ……」  あまりにも悪びれなく言う彼女を前にすると、間違っているのは自分の方じゃないかと思えてくる。楽な方に流れたくなる。でも何とか踏みとどまって、絞り出すように言った。 「アルファとかオメガとか関係ないよ。修哉は大切な……友だちだから放っておけないだけ」

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