60 / 133
鷹取晃人03
「あっ……や……い、つまでやっ、てんだよ……っ」
裸になって、抱き合って、キスをして……
這わせた舌は、十五分経ってもまだ、上半身でとどまっていた。
左の乳首を舐めながら、右の乳首の乳輪を撫でさする。修哉を焦らす意図もあったけれど、純粋に楽しくて、次にどうするか、なんて何も考えずに、しゃぶることに熱中していた。
「や……な、んで、そこばっか……」
「だって……気持ちいいだろ?」
「気持ちいい、けど……」
「ならいいじゃん」
「でもこれは何か違……ひっ」
忘れたフリをしていた右の乳首のおもむろに弾くと、修哉は甲高い声を上げた。ぎゅうっ、とつまみ上げたり、先っぽをこすったりして、刺激を変える。そのたびにびくびくと腰を跳ねさせている。初めはその刺激に反応して反射的に、だったのだろうけど、そのうち徐々に、修哉の方から下半身をこすりつけにきているのが分かった。もっともっと、ねだらせたかった。
「ふっ……う……んんっ……も、もう駄目っ……」
背後で足をばたばたさせているのが分かった。がんっ、と何か蹴っ飛ばすような音も……。何が当たったんだろう……ま、いっか。
「修哉、乳首、弱い?」
「弱い……って、言うか……」
「こうやって普通のときにやるとよく分かるよな」
「な、にが……っ」
「発情とか関係なく、修哉はやらしい身体をしてたんだな、ってことが」
「や、らしくなんかない……っていうか、晃人がやらしいさわり方すっからぁ……」
「やらしいさわり方、ってどんな?」
「どんな、って……」
「こうやってくりくりされんの好き? それとも引っ張った方がいい? あ、爪でひっかいてみる? ほら、かり、って」
「やっ……あ、あ、ああっ……だからそうやって、わざわざ言、っちゃうとこが、やらしーんだよっ、変態!」
「じゃあ気持ちよくない?」
「っ……」
舐めるときにわざと、息を吹きかけるようにして舌を這わせた。優しく。反対にもう片方の乳首は乱暴にこね回すと、腰の揺れがいっそう激しくなった。当たっている部分がじんわりと濡れている。それでも意地を張って、何とか快感を逃がそうとしている。
「ふっ……うっ、んうっ、んん……」
声がくぐもった、と思ってふと上目遣いに見ると、手の甲を口に押し当てている。
「こら、だーめ」
手首をつかんで離させる。でも離したそばから、また口を押さえようとする。引き離しては戻され、引き離しては戻され……そういった不毛なじゃれ合いを、何度か繰り返した。
「また、もう……噛むなって」
唾液で濡れた手の甲には、歯形がついてしまっていた。
「だって……」
「だって、じゃ、ないって。修哉の身体に傷つけんのは、修哉であっても何か嫌だ」
許さない。
傷をつけるのは。
誰でも。そう……
「だ、ったらそんなことすんな、って……んっ、んんんっ!」
「あー、ほら、唇も噛んじゃ駄目」
唇の間に人差し指を潜り込ませる。舌を、歯列を、頬の裏側を、不規則な動きで撫で回すと、健気にその動きに着いてこようと、必死に舌を絡ませてくる。つっ、と、こらえきれなかったであろう唾液がとうとう、唇の端からこぼれる。恥ずかしがっているのが分かったけれど、あえてそのままにしてやった。
再び、唾液で濡れた指で乳首をいじるのを再開すると、今度は両手で目を覆っている。まったく、手がいくつあっても足りない。
「目ぇふさぐのも駄目。あ、瞑るのも駄目」
「だってこんなのもう無理……っ」
「ほら、しっかり見てろって。修哉の乳首、こんなになってんの、見たことないだろ」
「やだもう見たくないしっ」
「えーっ、ほら、見てよ。修哉にも見てほしいんだよ。なあ、見て。俺がせっかくここまで育てたのに。ほらほら、すっげ、おいしそうじゃない?」
「おいしそう……とかっ……」
怖々、修哉が目をあけた瞬間を見計らって、一番卑猥な光景を見せつけた。片方は舌ですくい上げるようにし、もう片方は乳首の先端と指との間に唾液の糸がかかるようにする。
「やだっ、やだやだやだもう最低っ」
「ここだけでイってみる? イきたい?」
「そんなん訊くな、って……!」
「えー、教えてよ」
ともだちにシェアしよう!