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早坂修哉01

 平成十五年十月十日。雲ひとつなく晴れ渡った日の朝。六時十八分。光輝、君はうまれました。私がうみました。でも、もうひとりの親は、本当のところは誰だかよく分からないのです。  墓場まで持っていくつもりだった秘密を、初めの二行でぶちまけてしまいました。  文系の晃人と違って理系の私は国語が苦手だったので、文章の組み立て方がいまいちかもしれません。でもいいのです。これはたぶん、書き終わったらすぐに破り捨ててしまう。手紙なのか日記なのかもよく分かりません。ただ、胸の中にあるものを一旦すべて吐き出してしまわないと、いつまで経ってもぐるぐると同じところで悩み続けてしまうような気がしたのです。君がオメガだと分かった今。

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