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早坂修哉01
本当は、好きなひととしたい。一番好きなひととしたい。でも、一番好きなひととだけはしたくない。
あのときの私は本当に狂った獣のようで、今にも晃人をどうにかしてしまいそうでした。それにだんだん、晃人に抱かれるたびに、飢えがひどくなっていくのです。これは普通ではないのではないか、と、思い始めました。
アルファのひとと出会う機会なんてそうありません。アルファの知り合いがいるひとは羨ましがられますし、そういうオメガはアルファとのセックスをとても素晴らしいもののように語ります。何事も個人差、という便利な言葉がありますが、それにしたってこれは少し、違うのではないか。おかしいのは自分の方なのではないか……
晃人以外のひととやるのは、裏切りではないか、と、ちらりと頭を掠めました。でも……よく考えたら晃人とは付き合っているわけじゃありません。つがいでもない。あの現場に居合わせたのがたまたま晃人だった。そして自分が引きずり込んで、ずるずるとここまで来てしまった。晃人は優しいから、私が苦しがっていたら絶対断らないでしょうけど、本心では嫌がっているかもしれません。晃人ばかりに頼っていては……
でも、どれだけ理屈を積み上げても、心にはずっと引っかかるものがありました。
そして、嫌な予感は的中してしまうのです。
晃人以外のアルファとするセックスは、天国かと思うくらい気持ちよかった。
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