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再び・鷹取光輝02

 ゼミの研究テーマは『災害からの復興に人々がどう向き合ってきたか』というもので、実際に被災地へ赴き、二人一組でインタビューをして回ることになっていた。二人一組。休んでいる間にしれっと春陽とペアを組まされていた。「何でこうなったんだよ」と周囲に訴えたが、「えっ、何か問題でもある?」「だって一番仲いいでしょ」と、光輝が抵抗するとは思ってもみなかった、というような反応に、一体春陽がどのように自分との関係をふれまわったのか……嫌な予感しかしなかった。しかも激しく余計なお世話なことに、春陽は目的地までの新幹線のチケットを、光輝の分も取っていた。「えっ、だって一緒に行った方が楽しいじゃん」  ちょっと何言ってんのか分かんない。  三時間。  三時間かー……

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