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再び・鷹取光輝02
一方的に住所をラインで送りつける。全然期待していなかったけれど、窓から覗くと、門の前でうろうろしている人影が見えた。本当に来た……
けれどそれからいっこうに、中に入ってくる気配がない。
ああもう何やってんだ……!
とりあえずTシャツにズボンだけ履いて、外に出る。
「おい、不審者!」
呼びかけると、門扉越しにパッと顔を上げたのが見えた。
「鷹取〜、よかったぁ〜、ここほんとに鷹取ん家か分かんなくってさ〜、つーか何なのお前ん家! でかすぎると逆に家に見えねえんだな!」
「いいから早く入れ」
「お邪魔しまーす……って、玄関まで遠っ! えっ、このスペース一体何っ? ここ部屋じゃねえの? これ何っ、エレベーター? はっ? 全部で部屋いくつあんの? トイレは? ふたつ? みっつ? えっ、それ以上? まさか数えたことないから分かんないとか言わねーよな!」
「……数えたことないから……分かんね」
「うっわそんな台詞、ドラマの中でしか聞いたことねーわ。鷹取って何者? 超ボンボンじゃん! つーか金持ちのレベルが違うって!」
「ボンボンって……。じいちゃんが、鷹取グループの会長なんだけど」
「鷹取グループって……えーっ、あの鷹取グループ? プリンとか作ってる?」
プリン……プリンもあるけど……何でそのチョイスなんだよ……銀行とか造船とかの方が有名だろ普通。まあいいけど。
「スゲー、リアル華麗なる一族じゃん! まさかお手伝いさんとかいたりすんのっ?」
「あー……うん、まあ……。親はしょっちゅう海外だから……」
「えっ、今も……」
「今は丁度いねえし。いたらお前、呼んでねえし」
言ってから、しまった、何かものすごい恥ずかしいことを言ってしまったと思ったけれど、幸い春陽はあさっての方向を向いていた。
「あ! あれさあ、庭のあっちにあるのってプール? えーっ、プールがある家とか初めて見た!」
「あああもうちょっと黙れ!」
部屋に押し込み、ドアを閉めた勢いでキスをした。舌を潜り込ませながら、そういえば誰かとこういうことをするのは初めてじゃないか、と、思う。初めて、って、こんな感じでいいんだっけ。分からない。でも……止められない。
何気なく春陽の胸に手を添えると、ばくばくいう鼓動が伝わってきた。
……ああそうか、こいつ、すげえ緊張してるんだ。
こいつも……緊張してるんだ。
そっか、そういえば言ってたな、緊張するとべらべら喋っちゃう、って……
分かった瞬間、有り体に言えば嬉しさ、みたいなものが、ぶわっと胸に膨れあがった。
ベッドに引き倒すと、思った以上に顔が近かった。その気恥ずかしさを誤魔化す意味で、もう一度キスした。さっきよりさらに強く、春陽のにおいを感じた。いいにおい……というのとは違う、でも、惹きつけられるにおいだった。一番強いにおいの出所を探すように、首筋や胸に顔をうずめた。
脱がせた方がいいのか躊躇っているのが分かったから、自分から上も下も脱いだ。引かれたらどうしよう、という恐怖心をふりはらうように、あえて何でもないように。逆に見せつけてやるように。
手を取って、後ろの穴に誘導する。その手は思ったよりも熱く、じっとりしていた。入口にふれた途端、ぴくっと痙攣している。促しても、本当にふれていいのかまだ、躊躇っているのが分かる。
「ここ……どんどん溢れて止まんねえの」
「な、何かすげえな……」
「もしかして初めてだった? 発情したオメガ見んの」
「発情したオメガ……っていうか……こんなきれーな身体見るの初めてだから……ちょっとやばい」
「き、れー……って」
「だって鷹取、すっげ、きれいだもん。好きなひとの……何っつーか……裸……っつーか、肌、っつーか、うまれたままの姿、っつーか、裸、っつーか……見んの初めてだからそう思うのかな。分かんない。分かんないけど……」
何で裸を何回も言い直したよ。分かんねえな、もう……
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