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再び・鷹取光輝02
「……いいよ、出して」
春陽の目を見て、言っていた。
「早く出して」
「う……ん。あ……やば……ほんと、やば……あ……イくっ、あ……出る……出っ……」
腰を振るスピードが速くなる。ああ……こいつ、イくときこんな顔、するんだな。
きゅう、と、眉を寄せた表情を下から凝視してやる。春陽は分かりやすく、ぶるぶる、と身体を震わせ、ふーふーと荒い息をついて……どうやらイったらしい。……ん、イった……?
ふと見ると、光輝の腹が白いものでよごれている。さっきまで後ろに入っていたはずのものは引き抜かれ、急速に穴が閉じていっているのが分かる。
「え……」
「あ、ごめ……鷹取の腹に……飛ばしちゃって」
「お前、何でナカで出さねーの」
「ん?」
「ん? じゃねーよ! 何でナカで出さねーんだよ! ナカに出さないと意味ねーだろーが!」
「え……えっと、だって……そんな、初めてなのにいきなり中出しとか……引かれるかな……って……だって、好きなひとは大事にしたい、っていうか……ああそれならナマでやんなって話なんだけど、ごめん、何かテンパって、いろいろ間に合わな……」
「ゴムとかいらねーし!」
「へっ?」
「アルファの精液、ナカに入ってこねーと発情鎮まらねーんだよ! 知ってんだろそれくらい何無駄打ちしてんだよ! ほら、もう一回、さっさと勃たせろよ!」
「もう一回……も、もう一回って……えええっ」
しゅんとなっているペニスをつかむ。二、三度擦り上げ……それはもうほとんど条件反射的な動きで、前屈みになって咥えていた。もちろんこんなことをするのも初めてで……でも初めてなのに躊躇いなくできている自分を、自分で褒めてやりたくなった。顔をうずめてしまうと、恥ずかしくてもう、二度と顔を上げられそうにない。口に含んだ瞬間、本当は一旦少し、離してしまいたかった。でも自分が少しでも苦しそうにすると、春陽は敏感に察してしまうだろう。基本鈍感なくせに、そういうところだけきっと、こいつは、異様に敏感だ。
「うっ……はぁ……やば……鷹取、それやば……ちょーやばいんだけど……うううやばやば、マジやばい」
やばい、しか言うことないのか。
でも、そうやって春陽がわめいてくれていたおかげで、自分の切羽詰まった喘ぎがかき消され、さらに大胆になることができた。遠慮とか羞恥心とか取っ払った向こう側に何があるのか見てみたい。ふたりでしかできないことをしてみたい。
見られる恥ずかしさより、見てみたい欲求の方が勝って、ちらりと上目遣いに様子を窺う。顔は真っ赤で、泣きそうになっている。ちっちゃい子どもみたいな……でもそれとは真逆の、ぞっとするくらいの色気も感じる。きっと春陽は見られたくないだろうと思ったから、慌てて目を伏せた。
今までちょっと、勘違いをしていた。
オメガの方が……受け入れる方が、覚悟を決めなければならないのだと思っていた。恥ずかしいのはこっちばかりで不公平だと思っていた。でもきっと決めなければならない覚悟も、さらけだす恥ずかしさも、相手を信用しきるということも、ふたり、半分ずつなんだ。
太ももがびくびく震えてきた。そろそろ限界かもしれない。
なるべく唾液が垂れないようにしたけど、それでも少し垂れて、その絵面の卑猥さにくらくらする。
跨って、腰を沈める。
入れた瞬間、目が合った。
さっきよりさらに、ぎちぎちに埋まっている気がする。
「はっ……この体勢だったら絶対漏らさねーだろ」
「でも……だ、大丈夫……?」
「大丈夫じゃねー……入れたはいいけど……疲れた。だからお前、動いて」
「動く……って、こう……?」
「ん……そう……もっと突いて」
一回突き上げられただけで、一気に容量オーバーになるくらいの快感が注がれてしまった。けれども意地になって、もっと、と、ねだり続けた。
もうちょっと自分が快楽に鈍感だったらよかったのに。そうしたら春陽が必死に自分を求めてくれる姿を、余裕を持って見てやることができたのに。
ずん、ずん、と打ち込まれるのに合わせて、声が漏れる。
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