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ふいに、給湯パネルの時刻表示が視界に入った。 『午前零時二分』 「ほら、誕生日のプレゼントだ」 言いながら、つぐみの顔を上向かせ、いきなり唇を塞いだ。 「……んんっ」 一瞬驚いたようにパチパチと目を瞬かせたつぐみだったが、すぐにとろんと目蓋を閉じた。 周はつぐみの顎先を摘み、唇を開かせる。 「ん……っ」 顔を傾け、舌を伸ばし、綺麗に並んだ歯列を舐め、怯えた舌先を絡めとる。 「あ……ん、んんっ」 「……これが、欲しかったんだろ」 僅かに唇を離して、呼吸する間を与えてやる。 「……んんあっ」 しかし、またすぐに深く舌を挿入した。口内を掻き回す。つぐみの眦に涙が滲んでいる。 「みぃ、手を休めるな」 周はつぐみの手首を掴んで、腕を動かす。 その手の内では腹に付かんばかりに、つぐみの雄が勃ち上がっていた。 若いな……。 周は内心苦笑する。 「ん、ああっ、」 大理石のような肌は桃色に染まり、汗の玉が光っていた。 周はつぐみの後頭部を支え、吐息までをも呑み込むように深く唇を合わせ、上顎を舌先で刺激する。 ビクリとつぐみの肩が震え、口端から呑み込み切れない唾液が流れ落ちていった。 「あ……っ、ん……」 湯気に包まれ、今にも蕩けそうな声を上げながら、つぐみの手が前後に動く。 「や……、ああん、周さん……っ、好き……っ」 扱かれる手の中で、垂れた蜜がくちゅりくちゅりと淫猥な音を立てていた。 「だめ……、もう、出る……っ、周さんにかかっちゃう……っ」 「いいから、俺にかけろ」 低く囁いてやる。 「あん……、や、も、いく……っ!!」 伸ばされた舌先を咥え、強く吸ってやると、つぐみが全身を戦慄かせた。 同時に、周の太腿に温かい液体が掛かる感触がする。 「あ……んっ、はあ、はあ……っ、」 周の肩にしなだれかかり、つぐみが荒い息を吐いた。 「すごい、気持ち、よかった……」 周を見上げた褐色の瞳には、恍惚とした景色が広がっている。 「誕生日おめでとう、みぃ」 周は目を細め、ツンと澄ました鼻先にもう一度、口づけを落とした。 するとつぐみは、上気した頬を満足げに緩ませる。 「プレゼントありがとう、周さん! ……でも、来年こそは、えっちさせてね?」 性懲りもなく周の耳元で囁くその肩を両手で押しやる。 「ら、来年になったら、また考えてやる」 「そんなのダメ!」 つぐみは周の手を押し戻し、首筋にギュッとしがみついてきた。 「ねぇ、約束して?」 そして、上目遣いで周の顔を覗き込む。 「来年こそは絶対、周さんに入れさせてくれるって」 「……えっ、お、俺が入れられる方!?」 「もっちろん!」 つぐみの明るい声が浴室に響く。 今後一年、周の懸案事項がひとつ、増えた瞬間だった――。  

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