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周とこたつとつぐみの友達

「わっ! 周さん、こたつ出したの!?」 日曜日。 やっと起き出してきたかと思ったつぐみが、嬉しそうな声を上げながら、周の部屋のこたつに飛び込んだ。 そしてコードを手繰り寄せ、早速スイッチを入れる。 「おい、みぃ、もうすぐ昼だぞ? 顔洗って、着替えてこいよ」 自室の掃除を終えた周は、縁側の掃き出し窓を閉めながら渋い顔をする。 「俺、こたつ大好き……。 ずっとここに住んでたい……」 しかしつぐみは周の言葉などまるで聞こえていないかのように、肩までこたつに潜り込むと、うっとりとした声を出した。 柔らかな栗色の髪の毛は寝癖が付いたままで、あちこちに跳ねている。 「はあ……」 そんなつぐみの様子に、周は眼鏡のブリッジを押し上げ、嘆息した。 つぐみが『こたつの国の住人』になってしまうのがわかっているので、周は例年、こたつを出すことに躊躇する。 だが、四枚の窓に面した広い縁側と仏間、床の間、そして布団などを収納している押入れがある八畳敷の和室の寒さに、周自身がそろそろ耐えられなくなっていた頃だった。 周は掃除のためにまくっていたカフェオレ色のカーディガンの袖を元に戻す。 ボトムはあったかさ重視の細畝のコーデュロイパンツだった。 窓の外は晴れてはいるが、陽射しは弱く、空は鈍色をしている。 「おはようございまーす! お邪魔しまーす!」 突然、玄関の引き戸がガラガラと勢いよく開く音と、元気な声が響いた。 そしてドシドシと廊下を歩く足音が聞こえたかと思うと、あっという間に和室の襖が開かれる。 「お、久遠(くどう)君、おはよう」 窓辺から周が笑顔を向けた。 現れたのは、つぐみの高校の同級生である久遠大智(たいち)だった。 つぐみとは小学校時代からの付き合いで、勝手知ったるといった具合にこの家にも出入りしている。 何か運動部に所属していたはずの久遠は、背が高く、がっしりとした体躯に日焼けした肌をしているが、笑うと八重歯が垣間見える愛嬌のある顔立ちの少年だった。 「佐和田さん、おはようございます! うわ、高階、まだパジャマかよ!」 大きなビニール袋を手に、久遠がギョッとした目をつぐみに向けた。 「何しに来たんだよ……」 うんざりとした声音とともに起き上がったパジャマ姿のつぐみに反して、久遠はチェック柄のシャツの上に明るいオレンジ色のダウンベストを羽織り、ボトムはジーンズという、その快活な性格をよく表す恰好をしていた。 黒髪をいつも短く切り揃えている頭には紺色のニットキャップが被さっている。 「野菜持ってきたんだよ。白菜とか大根とか。佐和田さん、どうぞ」 「おお、いつもありがとう、助かるよ」 周は久遠の差し出したビニール袋を受け取った。

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