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「ねぇ、周さんも先っぽ気持ちいい? 俺もここ好き……」
染み出た蜜をくちゅりとまぶしながら、つぐみが親指の腹で先端を撫で回す。
脚から力が抜け落ちそうになり、周は濡れた手のままシンクにしがみついた。
「くっ……みぃ……!」
息が上がる。助けを呼ぶかのように口端からその名を漏らす。
黒豆が煮える音や換気扇の回る音に混じって、周の下半身から淫猥な音が響く。
つぐみの手が自身の欲望を煽り立てていることに、余計に興奮が増してしまっていた。
つぐみが抱き着いている背中が熱い。
尻にはつぐみの硬くなったものが押し付けられていた。
「周さんの、すごく熱くて硬くなってる……。ねぇ、気持ちいい?」
周の心を探るような、答えを懇願するかのような声音に、思わず頷く。
するとつぐみは熱い息とともに喜びに弾んだ声を出す。
「俺が、周さんをもっともっと、気持ちよくしてあげるからね……!」
つぐみの上下する手が速くなった。周はシンクを握り締める。汗が浮く。
「……っ」
身体の中央にすべての感覚が凝縮されたかのようだった。
周の瞳にはうっすらと涙が浮かび、目の前の台所の景色が滲んで見える。
と、その時、ぬるりと周の股の間に何かが忍び込んできた。
「な、なんだ……っ!」
「ごめん、俺のももう限界。周さんのここで、擦らせて」
つぐみも自身の雄を取り出し、周の太腿の間に滑らせていた。
「あ……っ、気持ちい……! 周さん、脚、もっと、閉めて……! 中には、あんっ、絶対入れないからっ」
つぐみは周の雄を手で扱きながら、自身の腰を揺り動かす。
こ、これはもう、セックスじゃないのか……!?
周は朦朧とした意識の中で必死に思考しようとする。が、自身の姿を客観視する勇気は最早ない。
背後から擦りつけられるつぐみの張り詰めた茎から、滾るような熱が伝わってくる。
周の脳内は情欲だけに支配される。
「みぃ……っ、もう、だめだ……っ」
つぐみの手の中で、周の茎は限界にまで猛り、脈打っていた。
「いいよ、周さん、いっぱい、出して……」
「く……っ」
つぐみの許可に、興奮が一気に背筋を駆け上り、白蜜が溢れ出た。
言葉にはできないほどの悦楽と解放感に、目の前が白む。
「俺の手で周さんがいってくれて、すごい嬉しい……! でもごめん、俺、あともう少し……!」
周の茎から白蜜を絞り切ると、つぐみは周の腰を両手で掴んだ。
そして、思いきり自身の腰を振る。
「ああっ、周さんっ、周さん……っ!」
「……っ!」
周の太腿の間を熱塊が前後に行き来する。
そこから生まれる淫靡な水音の原因はもう、周のものかつぐみのものかはわからない。
周は根元を擦り上げられ、出し切ったばかりの欲望にまた火を点けられそうになる。
「あんっ、いくっ、出ちゃう……っ!」
ビクビクと身体を戦慄かせ、つぐみは周の股の間に白蜜を迸らせた。
「はあ……っ、ああん、周さん、どうしよう! 中に入れてないのに、すごい気持ちよかったよぉ」
荒い息を吐きながら周の背中に抱き着いているつぐみが、足をばたつかせてはしゃいでいる。
「くそっ、みぃ! 人参が!」
しかし周は目の前のまな板の惨状に、一気に興奮が冷めた。
「え?」
周の身体の脇からつぐみが前を覗き込む。
「俺、周さんのがかかったやつなら、星形じゃなくても食べるから!」
そして、何の迷いもなく爽やかにそう言うと、背伸びをして周の頬にキスをした。
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