21 / 59

5‐5

「ねぇ、周さんも先っぽ気持ちいい? 俺もここ好き……」 染み出た蜜をくちゅりとまぶしながら、つぐみが親指の腹で先端を撫で回す。 脚から力が抜け落ちそうになり、周は濡れた手のままシンクにしがみついた。 「くっ……みぃ……!」 息が上がる。助けを呼ぶかのように口端からその名を漏らす。 黒豆が煮える音や換気扇の回る音に混じって、周の下半身から淫猥な音が響く。 つぐみの手が自身の欲望を煽り立てていることに、余計に興奮が増してしまっていた。 つぐみが抱き着いている背中が熱い。 尻にはつぐみの硬くなったものが押し付けられていた。 「周さんの、すごく熱くて硬くなってる……。ねぇ、気持ちいい?」 周の心を探るような、答えを懇願するかのような声音に、思わず頷く。 するとつぐみは熱い息とともに喜びに弾んだ声を出す。 「俺が、周さんをもっともっと、気持ちよくしてあげるからね……!」 つぐみの上下する手が速くなった。周はシンクを握り締める。汗が浮く。 「……っ」 身体の中央にすべての感覚が凝縮されたかのようだった。 周の瞳にはうっすらと涙が浮かび、目の前の台所の景色が滲んで見える。 と、その時、ぬるりと周の股の間に何かが忍び込んできた。 「な、なんだ……っ!」 「ごめん、俺のももう限界。周さんのここで、擦らせて」 つぐみも自身の雄を取り出し、周の太腿の間に滑らせていた。 「あ……っ、気持ちい……! 周さん、脚、もっと、閉めて……! 中には、あんっ、絶対入れないからっ」 つぐみは周の雄を手で扱きながら、自身の腰を揺り動かす。 こ、これはもう、セックスじゃないのか……!? 周は朦朧とした意識の中で必死に思考しようとする。が、自身の姿を客観視する勇気は最早ない。 背後から擦りつけられるつぐみの張り詰めた茎から、滾るような熱が伝わってくる。 周の脳内は情欲だけに支配される。 「みぃ……っ、もう、だめだ……っ」 つぐみの手の中で、周の茎は限界にまで猛り、脈打っていた。 「いいよ、周さん、いっぱい、出して……」 「く……っ」  つぐみの許可に、興奮が一気に背筋を駆け上り、白蜜が溢れ出た。 言葉にはできないほどの悦楽と解放感に、目の前が白む。 「俺の手で周さんがいってくれて、すごい嬉しい……! でもごめん、俺、あともう少し……!」 周の茎から白蜜を絞り切ると、つぐみは周の腰を両手で掴んだ。 そして、思いきり自身の腰を振る。 「ああっ、周さんっ、周さん……っ!」 「……っ!」 周の太腿の間を熱塊が前後に行き来する。 そこから生まれる淫靡な水音の原因はもう、周のものかつぐみのものかはわからない。 周は根元を擦り上げられ、出し切ったばかりの欲望にまた火を点けられそうになる。 「あんっ、いくっ、出ちゃう……っ!」 ビクビクと身体を戦慄かせ、つぐみは周の股の間に白蜜を迸らせた。 「はあ……っ、ああん、周さん、どうしよう! 中に入れてないのに、すごい気持ちよかったよぉ」 荒い息を吐きながら周の背中に抱き着いているつぐみが、足をばたつかせてはしゃいでいる。 「くそっ、みぃ! 人参が!」 しかし周は目の前のまな板の惨状に、一気に興奮が冷めた。 「え?」 周の身体の脇からつぐみが前を覗き込む。 「俺、周さんのがかかったやつなら、星形じゃなくても食べるから!」 そして、何の迷いもなく爽やかにそう言うと、背伸びをして周の頬にキスをした。

ともだちにシェアしよう!