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つぐみは白い息を吐きながら、できた雪の塊を石灯籠の傍に置くと、また新たな雪を掻き集めにいく。それを何度か繰り返したあと、「できた!」と叫んで周の元に駆け寄ってきた。 「あっちが周さんね。で、隣のちょっと小さい方が俺」 石灯籠の足元を指差して、少し気恥ずかしげにそう説明する。 そこには小さな二体の雪だるまが並んでいた。 枯れ枝やつつじの葉、南天の赤い実で顔まで作られている。 寄り添ったふたつの雪だるまの小さい方は、少しだけ首を傾げ、隣の大きな雪だるまを見つめているように周には見えた。 「…………」 身を切るような寒さの中にいるのにも関わらず、周の胸の奥は温かなもので満たされていく感覚がした。 「……可愛いな、ありがとう、みぃ」 ふいに込み上げてきそうになるものを堪え、周は眦に笑みを滲ませる。するとつぐみがはにかんだ顔で洟を啜り上げ、隣に腰を下ろした。 「貸してみろ」 周はつぐみの両手を掴んだ。その指先は真っ赤になり、かじかんでいる。 「冷え切ってるじゃないか」 「あ、でも周さんの手が冷えちゃう……」 「いいから」 引っ込めようとするつぐみの指先を周は自身の手のひらで覆い、「はあっ」と温かな息を吹きかけた。 「……ありがとう、周さん……」 つぐみが指先を見つめながら、もじもじと小さな声で礼を言う。周の体温がつぐみに移り、次第に温もりを取り戻していく。 「よし。じゃあ何か温かいものでも飲もうか。みぃは何がいい?」 「えっとねぇ……、ミルクたっぷりのカフェオレ!」 僅かに思案したつぐみだったが、すぐに満面の笑みでそう答えた。 「わかった。用意するから、みぃは着替えてこい」 「うん!」 つぐみは名残惜しそうに周の手を離して立ち上がると、和室を駆け抜け、すぐにトタトタと二階へと上がっていく。次いで周も立ち上がり、窓を閉めようとして、もう一度、庭を眺めた。 どこまでも澄んだ水色の空の下、一面の雪が朝陽を浴びてキラキラと眩い光を反射していた。軒先からは雪解けの水がポタリポタリと滴り始めている。 周とつぐみ、ふたりを模した小さな雪だるまは光の中で身を寄せ合っていた。 この季節外れの雪景色も、明日にはすべて、溶けて消えてしまうだろう……。 そう考えて、なぜか周は、妙な胸騒ぎを覚えた。

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