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ONE DAY 1
今日は仕事が早く終わったから、鷹人に電話して、外で食事する約束をした。
今はサーベルのライブツアーの中休みで、メンバーそれぞれソロの仕事を片付ける事に追われていた。
幸い俺のソロの仕事は、サーベルのツアー後にやる予定なので、他のメンバーほど忙しい訳でもなく、雑誌のインタビューと写真撮りが終われば、晴れて自由の身になれたのだ。
おまけに、明日は休みだし。 マンションに帰ったら、ゆっくり鷹人と抱き合おう。そう思いながら、事務所を後にした。
鷹人との待ち合わせの時間まで、スタバでお気に入りのダークモカチップクリームフラペチーノを飲みながら、音楽雑誌のページをめくって時間を潰していた。
鷹人には、こんなにクリームがたっぷり入ってるコーヒーなんて美味しいの? とか聞かれるけど、俺はこれが大好きだ。いつもってわけじゃなく、疲れている時などに、特に飲みたくなるんだ。
雑誌を捲っていると、リュウのソロ活動についてのインタビューが載っているの記事を見つけたので、読んでみることにした。
リュウ自身の話の後に『ところで、最近、シュンが前よりもっと輝いてるけど、リュウは何か理由を知ってる?』という質問が載っていて、ちょっと焦ってしまった。回りから見た俺って、そんな感じなのか?
読み進めていくと、『私生活の事は良く知らないけど、もしかして高校生みたいな恋愛でもしてるんじゃないの?』なんてリュウのコメントがあって、複雑な気持ちになってしまった。
私生活を知らない――なんて言って俺を庇ってくれているようで、何気に事実をバラしてるじゃないか。
でも、まぁ、本当の事だから仕方ないか。学生時代から、恋愛を楽しめなかった俺は、今になってやっと普通の恋愛をしている感じなのかもしれない。
俺は誰にも気づかれないように、こっそりと溜息を付いた。
何を言われても、仕方がないか。仲間の前では、周りをはばからずい鷹人にベッタリしているから。
と思いつつも、この手の雑誌うちの親が読まない事を願ってしまうのだ。
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