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ONE DAY 8
「ども、久しぶり」
俺の声に、皆が振り向いた。懐かしい顔が並ぶ――高校3年のクラスの男子が十数人集まっていた。
「よー、シュン!」
「相変わらず美人だなー」
「俺たちの中から、スターが出たなんて…すげーよなぁ」
そんな風に俺は次々に皆に声を掛けられながら、テーブルを順番に回っていった。
最後に、英明や健二のいるところに来た。ひとしきり皆で話した後、健二達が気を使ってくれて、俺と英明の2人だけ残して、他のテーブルに行ってしまった。
「そろそろ俺、行かないと」
鷹人を待たせている事も気になるので、英明にそう言って席を立とうとした。
「瞬、待って」
俺の右手をそっと押さえ、英明が俺を静止した。
「何だよ? 英明」
英明の右手を軽く振りほどきながら、俺は答えた。
「瞬、あの…ごめんな。高校の頃さ――」
その話題には触れたくなかったのに、まったく――。何度謝られたって、どうしようもない。お前が俺を本当に 愛していなかった、ただ、それだけの事じゃないか。謝られたら、自分が惨めになるだけだ――。
「もう、良いって。ずっと昔の事じゃないか」
「だけど…」
「そんなに俺、過去の事なんて引きずらないぜ。それも、高校時代の恋愛とかなんてさ、あんなの錯覚みたいなもんだろ?」
過去の事に引きずられてないなんて、大嘘だ。あの時の、英明のせいで、普通の恋愛が出来なくなったんだぞ――俺は心の中で呟いた。
「だけど…変な事言うようだけど、瞬と一緒にいた奴、俺に似てたよな? それってさ、もしかして――」
「自惚れんなよ。彼は、仕事関係の人だよ。たまたま英明に似てるだけだし」
「そうか?」
「そうだよ」
英明が俺の事を見つめていた。やめてくれ、俺は――
「な、あの頃の言い訳させてくれる?」
「何だよそれ? 今ごろ何言い訳するってのさ。言い訳なんて聞いても、何も変らないぜ」
「わかってるって」
体中が熱くなる思いがした。大好きだった英明が今、俺の目の前に居る――。
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