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ONE DAY 11

「お待たせ。鷹人」  顔を上げた鷹人は、俺を見て安心したように溜息をついた 「瞬、待ってたよ」 「さぁ、早く帰ろう」  俺がそう言うと、鷹人がニッコリ微笑んで立ち上がった。 「あぁ。早く帰ろう」 「懐かしかった?」 「え?」 「高校時代の仲間なんでしょ?」  先にシャワーを浴びてベッドに転がっていた俺に、鷹人がそう声を掛けてきた。 「あぁ、まぁね。皆それなりにオヤジになってたよ」 「そっか」  タオルで頭を拭きながら、鷹人がベッドの脇に腰掛けた。 「なんかさ、俺、やっぱ嫉妬したよ」  鷹人の正直な言葉に、嬉しくなって、彼の身体に腕を回し、脇腹のあたりに頬を摺り寄せた。 「嫉妬なんてしなくて良いよ。今の俺には鷹人だけだから」 「わかってるよ。でもさ、あいつ、俺があと何年かしたら、ああいう風になるのかな? ってそんな感じでさ。ちょっと気分悪いかも」  拗ねたような事を言う鷹人が、メチャメチャ可愛く思えた。俺のこと、ホントに好きでいてくれるんだよな。 「でも、あいつと鷹人は全然違うよ。だって、お前は、男の俺の事、真剣に考えてくれて、ずっと傍に居てくれるって言ってくれて――」  そう言いながら、俺は鷹人の股の間に手を伸ばした。 「男だけど、俺の事、ちゃんと愛してくれて抱いてくれる」  ホンノ少し反応していた鷹人自身を、優しく両手で包み込んだ。 「瞬――」  鷹人が頭を拭いていたタオルを床に投げ捨て、俺の手を掴むと、俺をベッドに押し倒してきた。 「愛してるよ」 「俺もだよ」  そう囁いた鷹人の唇が、俺の唇をふさいだ。 「瞬、あいつと、また会ったりするのかな?」  『会わないで』って声が、鷹人の心の中から聞こえてきそうだった。もっと自信もってよ、鷹人。 「もう会わないと思うよ。あいつ、結婚して、子供もいるんだって」 「そっか」  もう一度唇が塞がれた。俺は鷹人の舌を追うのに一生懸命になった。  その夜俺は、何度も鷹人を求めた。愛してくれたのがお前で、本当に良かったよ。真っ直ぐなその気持ち、 いつまでも俺に向けてて欲しい。

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