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俺達が出会うために 4

「今日は瞬と一緒じゃないんだね?」  英明が俺に声を掛けてきた。 「えぇ、今ツアーに出てますから」  俺の受け答えを聞いて、進藤が訝しげな顔をした。 「おい、誰だよ?」 「瞬の高校時代の友達」  俺は小さな声で進藤に伝えた。 「あれ、あの人、鷹人に似てるじゃん。お前兄貴居たのか?」 「違うって…」  不機嫌に答えた俺に、進藤が眉を潜めた。 「良かったら、一緒にどうですか?」  英明が、俺に声を掛けた。 「いえ…それが…」 「良いですよ。どうせ鷹人と2人じゃ退屈だったし。俺もお邪魔していいですか?」  俺は断って店を出ようとしていたのに、進藤がまた、しゃしゃり出てきた。どうしていつも俺の気持ちを無視するんだよ…。 「どうぞどうぞ」  田上さんが愛想よく笑って椅子を引くと、進藤がドカッとその椅子に座ってしまった。 「おい…進藤…」 「お前は、そっちに座れよ。ほら。並ぶとホント兄弟みたいじゃん」  俺は進藤を睨みつけてから、仕方なく英明の隣の席に座った。 「えっと、俺が田上、こいつは吉永。えっと君は鷹人君って言うんだっけ?」 「渡辺です」  名前で呼ばれるのがいやで、力強く苗字を言った。 「あぁ、渡辺さんね。で、渡辺さんの連れの方は?」 「進藤です。宜しく」  しばらくすると、進藤と田上さんは、やけに楽しそうに会話を始めた。どうやら、好きな映画監督が同じだったようで、最近話題になってる、その人の映画の話に夢中になっていた。 俺は仕方なく、英明がしてくる質問に答えていた。年齢とか、どんな仕事とか…コンパや見合いじゃないんだから、やめてくれって思った。 「澤井は元気?」  しばらく、英明の仕事の話を何となく聞き流していたら、突然、瞬の事を聞いてきた。 「元気だと思いますよ」 「何だ…一緒に暮らしてるんじゃないの?」  その言葉に、進藤と田上さんが会話を止めてしまった。 「おい、鷹人?」 「何だよ? 英明、何で渡辺さんと、澤井が一緒に暮らしてるって話になるわけ?」  田上さんの言葉に、英明は焦ったように言葉を濁した。 瞬との関係は、多分皆には内緒だったんだろう。『愛してる』って言っておいて、結局『男だから抱けない』なんて言った奴だ。友達にバレる事を恐れているに違いない。 「え? いや、瞬がそんな風に言ってたような…」 「澤井が?」 「俺の勘違いかな」  その後、進藤の仕事の話になって、取りあえず場が白けるような事態にはならなかったのけど、俺にとっては、ちっとも楽しむ事が出来ない飲み会だった。

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