「鷹人、それって…」 　ポケットから出したのは、まるい輪のようなものが二つ鎖で繋がっている？！　手錠じゃないか――。 「こうやって、さて」 　ガチャリと俺の両手に手錠をはめると鷹人がニヤリと笑った。 「何するんだよ？」 　待ってよ、鷹人、ＳＭに目覚めちゃったのか？　やめてくれよ、どっちかと言うと俺がＳだと思ってるんだけど？　って、そういう事じゃなくて、怖い鷹人は嫌だ！！ 「いいことするんだよ」 「え、このまま？」 　俺は鷹人が何を考えているのかわからなくて、不安になりながら鷹人の顔を見た。 「あはは…。なんてね」 　冷めた目でジッと俺の顔を見ていた鷹人が、急に表情を緩めて笑い出した。 それから俺の体をギュッと抱きしめて「ただいま、瞬」って、おでこに優しくキスしてくれた。 「なんだ、もう。ビックリしたじゃないか…」 　俺は微妙に腰を引きながら、鷹人の体に寄りかかって両頬と唇にキスをした。手が拘束されてて、キスしにくかったけど――。 「俺もビックリしたよ。瞬のそんな姿見ることになるなんて――」 　そこまで言ってから鷹人がニッて笑った。 「だって、鷹人が今日帰ってくるなんて知らなかったから。寂しい心と性欲を満たそうと思ってさ――」 「正直だね、瞬」 「なぁ、手錠はずしてくれよ。こんなのわざわざ買ってきたのか？」 　俺がそう言うと、鷹人が笑いながら俺の頭を撫でた。 「違うよ。向こうの知り合いがくれたんだよ、お土産にって。そんなに深く考えないでよ、俺、普通のセックスのがいいから、こういう小道具はいらないって言ったんだけど…。でもまぁ、瞬が望むなら、色々冒険してみても良いけど――」 「ううん。俺だっていつもので良いって。俺は普通に鷹人に甘えるのが好きなんだから」 「瞬ったら、本当にカワイイね。年上だって事、時々忘れるよ」 　鷹人が手錠を外しながらそう言って笑った。