35 / 108

愛しい人と 2

 それにしても…鷹人、今日中に帰って来ないのかな――? そう思いながら時計を見ると、ここに来てから、まだ20分も経っていないことがわかった。  鷹人と正式に付き合うようになってから、俺は時間出来ると鷹人に会いに来る。いつも鷹人がいる訳じゃないし、忙しそうに絵を描いている時もあるんだけど――。  実は、付き合いだした頃、外出中の鷹人をマンションの入口で待っていた事があった。 俺がそんな事したから、鷹人は「瞬を外で待たせるわけにはいかない」と言って合鍵をくれた。それからは、鷹人が居ない時でも、部屋に入ってのんびり過ごさせてもらっているのだ。 鷹人のベッドに潜り込むと、とても幸せな気持ちになれるんだ。俺の大好きな時間。ホンノ少しの間でも良いから、鷹人と一緒にいたいって思う。  俺にとって鷹人は本当に特別で大切な人。誰も鷹人の代わりなんて出来ない。そう思うと、再び胸が熱くなる――。  そう言えば、鷹人の部屋の中に俺の私物がずいぶん増えてきたな。食器棚には、鷹人とお揃いのカップを置いたし、歯ブラシなんて当然のように買い置きまである。普段着も何着か持ってきてあるし、パジャマも下着も靴も――。  そろそろ「一緒に住もう」って言おうかと思っているのだ。でも、鷹人がそれを望んでいるのか、いまいちわからない。仕事で関西に行っている鷹人の親父さんが、そのうち戻ってくるかも知れないので、鷹人はその事を気にしているようなんだ。 鷹人の気持ちを考えると、なかなか言い出せないでる。このままの感じでも悪くないから、急ぐ必要はないのだけど――。  風呂はとっくに沸いていたのに、俺はソファーに座って色々なことを考えていた。  それから、しばらく待っていたけれど、鷹人が帰ってくる気配がないので、俺は先に風呂にってしまうことにした。  かなりゆっくり温まって体のすみずみまで綺麗にした。自分では少し温まり過ぎたくらいだと思っていたのだけど、それでもまだ、鷹人は帰っていなかった。 「ちぇっ…まだか――」  ポカポカに温まっていた俺は、裸のままエアコンの前に立ち髪の毛を拭き始めた。  ほどなく、玄関の方から鍵を開ける音が聞えてきた。俺は慌てて裸の身体にバスタオルを巻きつけ、玄関に急いだ。温度設定26度の居間から廊下に出たらメチャメチャ寒かった。だけど、そんなの構わないさ、鷹人にすぐに暖めてもらうから――そんな風に考えていた。 だけど―― 「お帰り、遅いよ鷹人…」  俺はそう言って、愛しい鷹人に抱きつこうとした。 「あ、瞬?!」 「あ、あれ?」  玄関に居たのは、鷹人一人では無かった。  大変だ! どうしよう? 一体誰を連れてきたんだろう…。俺はその場でフリーズしてしまった。

ともだちにシェアしよう!