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愛しい人と 13
4人掛けのテーブルではす向かいに座り、それぞれ自分の事をやリ始めた。
しばらくすると、鷹人がスマホで音楽を流してくれた。Bluetoothスピーカーから、いきなり自分の歌声が聞こえてきたので、俺は少し恥かしかった。だけど、鷹人がいつも俺の歌を聴いていてくれるんだと思うと嬉しくなった。
1時間位すると、鷹人は出来上がった年賀状をポストに投函しに行った。俺はその間、寝室に置かせてもらっている自分のギターを持って来て、書き上げたばかりの詩を目で追いながら、曲の雰囲気を考えていた。
いつの間にか曲作りに熱中していて、鷹人が帰って来た事にも気づかなかった。そして、いい匂いがすると思って台所に行ってみると、いつの間にか夕食の準備も出来ていた。
「カレーのすっごく良い匂いがしてきたよ」
鷹人は小皿に入れたルーを味見している所だった。
「あ、瞬。そろそろ食事にしようか? それともまだだったかな?」
「うん。大まかに出来たから、今日はもういや。すっごい良い匂いがしてきて、腹減っちゃった」
俺がそう言うと、鷹人が小皿にカレーを少し入れて、俺の前に差し出した。
「これさ、この間テレビでやってた、ほうれん草とチキンのカレーだよ。グレイビーソースっていうの作っておくと、簡単にいろんな料理に使えるんだって」
鷹人が嬉しそうにそう話してくれた。
「お、これ、すっげー美味い。鷹人、どんどんレパートリーが増えるな」
「いやぁ、簡単に作れるのばかりだけどね」
俺もたまに料理をするけれど、子供のころから必要に迫られて家事をやっている鷹人とべるとプロと小学生くらいの差があるんだ…。
「いつもありがとな」
「どういたしまして。さぁ、食べようよ」
「うん」
それから鷹人が作ってくれた美味しいカレーを食べた。普段は体形が変わらないように気を付けてるけど、しばらく休みだし、これから運動するから、良いよなって思って、おかわりを2回してしまった。
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