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はっぴーでいず 2

「一緒に暮らそうって言ったのに、鷹人は『忙しくなくなったら』って返事ばかりでさ、それってもしかして、一緒に住みたくないってことなのか? 2人が忙しくなくなる時っていつなんだよ? 俺、鷹人のそばに居たいのに……」  その後、瞬が黙り込んでしまった。 「ご、ごめん、瞬……」  俺がそう言うと、瞬の嗚咽が聞こえてきた。 「ごめん、瞬。俺……今から行くから、待ってて!」  自転車で行けば、そんなに遠くない場所なのに、会いに行こうとしなかったのは、忙しい瞬がゆっくり休めるようにって思ってのことだった。だけど、そんな風に考えたのは、俺の勝手な思い込みだったんだ――。  俺はスマホをポケットに入れコートをはおり、マフラーと手袋をして部屋を出た。  ヒンヤリとした夜の空気の中、俺は高校生の頃、遅刻しないようにと慌てて学校に向かっていた時のように、必死に自転車のペダルをこいでいた。  瞬のマンションに着くと、駐輪場に自転車を置かせてもらい、エントランスでインターフォンをならした。すぐに鍵が外れる音が聞こえたので扉を開け、俺は瞬の部屋に急いだ。  部屋の鍵も開いていたので急いで中に入ると、瞬はソファーの上で膝を抱えて座っていた。  目と鼻が赤いけど、もう泣いてはいなかった。 「ごめん、瞬」  俺がそう言うと、瞬はソファーから立ち上がり、俺に駆け寄った。 「鷹人!」  瞬が俺の名前を呼びながら両手を広げて俺に抱き着いた。 「瞬」  ギュッと抱きしめると、瞬が俺の胸に顔を押し付けた。 「鷹人の香り……」  そのままどちらともなく顔を近づけて、キスをした。でも、すぐに瞬が俺の身体を押してキスを止めた。 「取り乱してゴメンな」  瞬はそう言った後、このところずっとハードスケジュールだったので、仕事の疲れもあったからナーバスになっていたみたいだって話してくれた。  その時俺は、お互い辛い時期を乗り越えてやっと幸せになれたのに、荷物の整理がどうので迷っている場合じゃなかった。瞬の悲しむ顔を見たくないと思っていたのに――とメチャメチャ反省していた。 「俺が悪かったんだ……せっかく瞬が一緒に住もうって言ってくれたのに。忙しいとかっていうのもあるけど、本当は、親父の荷物とか、俺の絵とか整理しないといけないからな……仕事の合間に出来るかな? 面倒だなって思っちゃって。出来るかな? じゃなくて、やらなきゃダメだよな」  俺が自分の思っていたことを正直に話すと、瞬は俺をジッと見てから笑い出した。

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