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はっぴーでいず 3

「そういえば鷹人の家、荷物が多いもんな。今は俺の荷物も少し置いてあるし――。じゃあさ、荷物全部入るくらいの広い家を探そうよ。そうしたら、引っ越した後にゆっくり荷物整理するんでも大丈夫じゃない?」  瞬がそう提案してくれた。 「そうか、そういう手もあるね……」 「うん、そうだよ」  荷物を全部運んでもらって、後で整理する……か。そう考えていたら、もっと簡単な方法が頭に浮かんだ。 「あのさ、思いついたんだけど、俺の家をそのまま俺の仕事場兼倉庫って感じで残して、俺がこのマンションに生活に必要な物持って来るっていうのはどうだろう? ここから俺のマンションまで、自転車使えばそれほど時間かからないし」  俺が得意げにそう言うと、瞬が少し呆れたような顔をしてからクスっと笑った。 「なぁ、鷹人……あのさ、親父さんの荷物とか鷹人の絵の整理がとか色んなこと含めて、最初から話してくれたら、もっと早く一緒に暮らせたと思わない?」  瞬にそう言われて、いい考えが浮かんだと思っていた自分が恥ずかしくなってしまった。 「ゴメン……ホントそうだよね」  俺が謝ると、瞬は「鷹人らしいけどさ」と言って笑った。 「鷹人、これからは何か問題があったら、1人で考えてないで、ちゃんと話してよ。今回、俺がごねて泣かなかったら、鷹人は1人で悩んだまま、どんどん先延ばししようとしたんじゃない?」 「うーん、そうかも知れない。なんかさ、自分のことは自分でどうにかしないといけないって思っちゃったんだよ」  頭をかきながらそう言うと、瞬が一回目を瞑ってから首を左右に小さく振った。 「そう言えばさ、鷹人は昔、俺に黙って俺の前から消えようとした前科があったよな」  瞬は冗談っぽく言ったんだけど、そう言われると俺は返す言葉がなかった。それはそうなんだけど、今回の場合とは全然状況が違うじゃない……。色々と言い訳したかったけれど、余計ややこしいことになりそうなので黙ったまま恐縮していると、 「あの頃は、俺の気持ちが暴走しちゃってたから、それがいけなかったんだとは思うよ」と瞬が呟いた。 「ううん。もとはと言えば、俺が……」  そう言いかけると、瞬がその言葉を遮った。 「ゴメン、今のは俺が悪かった、昔の話は止めよう。これからはお互いにどうやったら上手くいくか、ちゃんと相談しあっていこうな」  瞬がそう言ってニッコリ笑った。あぁ、やっぱり俺の瞬は最高だ! 「わかった。じゃあ、日程とか考えて行こうよ」 「おう」    それから2週間後、俺たちの同棲生活が始まった。

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