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はっぴーでいず 4

 一緒に住み始めてからも、瞬は相変わらず忙しい日々を送っていた。そして俺の仕事も波があるので、2人のタイミングがあってゆっくり過ごせる時間は多くはなかった。  瞬の予定を変えるのはほぼ無理なので、俺は出来るだけ瞬の休みに合わせるように仕事の調整をするようにした。全然予定が合わない時などは、お互いメモを残しておいたり、マメに連絡するようにして、すれ違いを無くそうと努めた。  それでも、忙しい日が続いたりすると、瞬が拗ねたように「仕事に行かない」と言い出すこともある。だけど、瞬は自分の仕事が大好きだし、仕事に誇りを持っていることも知っているので、愚痴を聞いても不安にならずにいられた。  子どもみたいな所のある瞬のこと、出会った頃よりも、もっと愛しいと思っている。俺にだから色々言えるんだろうし、素直に甘えられるのだと思うから――。  俺より年上なのに、甘えん坊で寂しがり屋で、可愛いい瞬……。辛くて苦しかったあの時を思えば、一緒に居られる時間が短いとしても、今の幸せに感謝しなくちゃいけない。  そして、瞬と一緒に暮らすようになり、お互いのペースや生活リズムに慣れ始めた頃だった。 俺は久しぶりに瞬のライブを見に行く事になっていた。その日はサーベルの全国ツアーの初日だったのだ。  ステージに立つ瞬は、どんな風に進化したんだろう? ちょっと……いや、かなり楽しみだ。 「鷹人、起きてる? 俺、もうすぐ出かけるよ」  ライブのリハーサルに出かける準備をしていた瞬が、寝起きでぼんやりしている俺の頭をポンと叩いた。 「え? あぁ……起きてるよ」  瞬が出かけたら、もうひと眠りしようと思っていた俺は眠い目をこすりながら答えた。 「どうしたのさ、鷹人? ボーっとしてたよ。あ、また何かエッチな事でも考えてた?」  瞬がそう言ってクスクス笑った。 「まさか! もう充分だって……」  とっさに俺は反論していた。昨日の夜は瞬に求められて、散々全身運動させられたんだ……。 『明日はライブなんだから、やり過ぎない方が良いと思うけど』って言った俺に、 『じゃあ、鷹人が頑張ってよ』なんて可愛く微笑むものだから――。  愛しい瞬にそう言われてしまうと俺、弱いんだ。綺麗に乱れる瞬が見たくて、必死に腰を使ってしまった。 おかげで、立ち上がるのが辛いんじゃない? って気がするんだけど――。 「えー、俺はもっと欲しかったのになぁ……」  瞬が俺の耳元に唇を近づけ、そう囁いてから耳たぶを軽く噛んだ。 「ちょっ、瞬!」  俺は妙な刺激を与えられ元気になりかけた我が息子をなだめつつ、瞬を仕事に送り出すためベッドから立ち上がろうとした。

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