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夏休み 2

 昨日の夜は鷹人が仕事の打ち合わせに行っていて、俺が帰った時にはまだ帰っていなかった。  ツアーで地方に居る間も、毎日鷹人と電話で話をしていたけど、会うのは久しぶりだったから、顔を見てから眠りたいと思って鷹人の帰りを待っていた。 でも、メチャメチャ疲れていた俺は、風呂に入った後ベッドでゴロゴロしながら待っているうちに、そのまま眠ってしまったのだ。  だから、久しぶりのキスで簡単にスイッチが入ってしまうのは仕方ないんだ。 でも、なぁ……。俺は蕩けそうになっている頭でボンヤリと考えていた。  すると―― 「ねぇ……瞬」  鷹人が俺の耳元でそう囁いてから、俺の腰をグッと自分の方に引寄せた。お互いの体はしっかり反応していた。 「ちょっと鷹人……」  返事をしないでいた俺に焦れたように、鷹人が俺の股間に脚を押し付け、グリグリと動かした。鷹人不足を感じていた俺は、思わずベッドに逆戻りしてしまいそうになった。 俺だってお前と2人きりで過ごしたい。鷹人、お前の肌に触れたい。抱きしめあいたい。  だけどさ―― 「あのね、俺はさ、出来ることなら、明日は早めに帰りたいって思ってるんだ。その為には、早く行かないといけないじゃん。それに――今やったら、多分、一回じゃ我慢出来ないよ」  俺が正直に言ったら、鷹人が諦めたように小さく溜め息を付いた。 「そうだよね……瞬は好きだもんね」  鷹人が少し拗ねたような言い方をしたのは、お預けをくらったせいだろうな。 「鷹人だってそうだろ?」  鷹人の身体に回した手にギュッと力を入れた。 「あぁ、俺、瞬のことも、瞬とのセックスも大好きだよ」  耳元で告げられた鷹人の言葉に俺の体はどんどん熱くなった。だけど俺は、頭を振って気持ちを切り替えた――。 「帰ってからゆっくりね」  俺がそう言うと、鷹人が諦めたようにフウとため息をついた。 「仕方無い。じゃ、急ぐよ」  鷹人が俺を抱きしめ、もう一度キスをした。 「さて、新しい家族に会いに行こう」  それぞれの荷物を持ち、俺たちは玄関に向かった。  鷹人の父親が神戸で出会った女性と今年初めに再婚して、鷹人に母親と弟妹が出来た。 『新しい家族に紹介したいから、都合が良かったら遊びにおいで』  と鷹人の父親から連絡が来たのは、7月の中頃。ちょうど弟と妹も夏休みだから、その間に顔合わせ出来ると良いのだけど……、とのことだった。  親父さんと再婚相手の良子さんには以前会ってるし、幸いなことに2人は俺たちのことを応援してくれている。  だけど、鷹人の新しい弟と妹に会うのは少し不安だった。鷹人の話だと、弟たちには俺のことを「仕事でもお世話になっている友人」と伝えてあるらしいけど――。  新しい兄貴が挨拶に来るのに、彼女と一緒ならまだしも、男友達を連れて来るってことについてはどう思うんだろう……。  でもまぁ、親父さんも良子さんもいるから、何とかなるかな。 

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