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夏休み 10
「良孝が後で瞬に話があるって」
鷹人が抑揚の無い声でそう言った。そんな話、今の俺にはどうでもいいんだけど――。
「そ、わかった。なぁ、それより、鷹人……」
俺はすっかり元気を取り戻していた下半身を鷹人に押し付けた。
「あれ、瞬?」
鷹人は、俺が枕元に投げたままだった使用済みのティッシュを見つけて、俺の前に差し出した。
「何だよ?」
俺は少し恥ずかしくなって鷹人から目をそらした。
「まぁ、良いや」
鷹人はティッシュをゴミ箱に捨ててから、俺の股間に手を伸ばしてきた。
「あ、そう言えば、瞬はスッキリしたでしょ? だったら、俺のやって欲しいな……良い?」
本当は鷹人にもっと触って欲しかったけど、まぁ、仕方ないか――。
「良いよ」
俺はそう言ってから、さっさと鷹人のジーパンを脱がせ、ボクサーパンツを下ろした。あっという間に鷹人のものは元気を回復した。
『家だったら出来るんだけどな……』そう思いながら、俺は鷹人の股間に顔をうずめた。
「えぁ?!」
俺が一気に鷹人のものを咥えたら、鷹人は滅多に聞けないような声を出した。
それから俺は、舌で丁寧にペニスの輪郭をなぞってから、もう一度奥まで咥えて舌でキュッとしめつけた。時々聞こえる鷹人の色っぽい吐息がたまらなかった。
「あ、そんなにしたら、ヤバイよ…………っ、あぁ」
しばらく顔を動かしていると、驚くほどの早さで鷹人がイってしまった。俺も驚いたけど、鷹人本人が一番ショックだったかも知れない。
「瞬、ゴメン」
慌てたように鷹人がティッシュを数枚取って俺の口にあてがった。でも、俺は首を振ってゴクリと鷹人の精液を飲み干した。
「ふう。久しぶりの鷹人の味だな」
美味しいとはお世辞でも言えないけれど、愛する鷹人のなら抵抗無く飲めてしまう。不思議なもんだね。
そんな風に思いながら、俺はうな垂れている鷹人をギュッと抱きしめ、両額にキスをした。
「気持ち良かったんだろ? だったら良いんだよ」
それから二人で同じベッドに入り、しばらく抱きしめ合ったままでいた。セックスしたかったけど、俺も鷹人もそこまでする勇気は無かった。
だって、俺の声って、結構大きいらしいからさ。
その後、俺達はベッドの上に寝転がったまま話をしていた。
だけど、鷹人も昨日の夜は遅かったせいか、返事が聞こえなくなったかと思うと、規則正しい寝息が聞こえて来た。
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