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夏休み 17
「鷹人兄さんもオシャレでカッコいいよね。私、嬉しくって。兄さんのこと友達に自慢しようと思ってるんだ。シュンさんの話は内緒だけどね」
美弥子ちゃんがウインクしながらそう言った。
「俺も可愛い妹が出来て嬉しいよ。ちょっと照れくさいんだけどね」
「えー? どうして、兄さん?」
「そうだなぁ……家族っていう感じを知らなかったから……って言うのもあるし、美弥子ちゃんくらいの年の女の子と話す機会ってあんまりないからね。でも、みんなと家族になれて良かったよ。幸せだと思う」
鷹人がそう言いながら、チラッと視線を俺に向けた。俺は美弥子ちゃんの存在が少し気になったけど、笑顔で頷いた。
「私もヨシ兄も、お父さんにはとっても感謝してるよ。お母さんったらね、お父さんと会ってからどんどん若くなったし、綺麗になった感じ。とっても幸せそうだし、それに……」
俺の顔をジッと見て美弥子ちゃんがニコッと笑った。
「……素敵なお兄ちゃんが出来たんだもの」
そう言った後、美弥子ちゃんが小さな声で「お兄ちゃんがもう2人ね……」と呟いた。
「え……?」
鷹人が聞き返していたけれど、美弥子ちゃんは「何でもない」と言って笑うだけだった。
「ねぇ、それより、私、兄さんと写真撮りたいな」
美弥子ちゃんがポケットからスマホを出しながら言った。
「いいよ。俺が撮ってあげる」
俺は美弥子ちゃんからスマホを受け取ると、鷹人と美弥子ちゃんの写真を撮った。その後、俺も美弥子ちゃんと写真を撮ることになってしまった。友達には見せないから……って言っていたけれど、もしかしたら無理かも――そう思いながら俺は写真用の笑顔を向けた。
「ね、鷹人兄さんとシュンさんの写真も撮ってあげる」
美弥子ちゃんが自分のスマホをテーブルに置いてから、カメラをかまえるポーズをした。
「あ、うん、お願いしようかな」
鷹人がそう言ってから、ベッドの枕元に置いてあった自分のスマホを持って来た。
「じゃあ、兄さん、シュンさん、はいチーズ!」
「何か恥ずかしいなぁ」
俺は鷹人との間に微妙な距離をとりながら美弥子ちゃんの持っているスマホを見つめた。
「兄さんもシュンさんも、ほら、もっと寄って寄って」
一枚撮った後、美弥子ちゃんが手をヒラヒラ動かしながらそう言った。俺と鷹人は顔を見合わせてから、少しずつ体を寄せ合った。
「もー、ダメダメ。こうやって顔を寄せ合って!」
美弥子ちゃんが俺達のそばにやってきて、俺達の頭に手をかけると、コツンと二人の頭をくっつけた。
「こんな感じで頬っぺたくっつけてね。そうそう。あー、もっと笑って」
鷹人のスマホで何枚か撮った後、美弥子ちゃんは自分のスマホでも俺たちの写真を撮っていた。そして、写真を確認して満足したように頷くと、美弥子ちゃんはソファーからパッと立ち上がった。
「ありがとう、兄さん、シュンさん。それじゃ、お休みなさい」
「うん、お休み」
「お休み、美弥子ちゃん」
美弥子ちゃんが満面の笑みを浮かべながら部屋を出て行った。
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