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夏休み 18
美弥子ちゃんが出て行った後、俺達はおやすみのキスをして別々のベッドに入った。だけど、俺は目が冴えてしまって、なかなか眠ることが出来なかった。
どうやらそれは、鷹人も同じだったみたいだ――。
「瞬」
ベッドに入ってから30分くらい経った頃、隣のベッドから鷹人の声が聞こえてきた。
「何?」
「そっちに行っても良い?」
鷹人がそう言いながら体のむきを変て、俺の方を向いた。
「良いけど……」
そう答えると、すぐに鷹人が自分のベッドを抜け出して俺のベッドに入り込んできた。
「はぁ。やっぱ安心する」
鷹人が俺の体に腕を回しながらそう言った。普段一緒に居る時間が少ないから、こうやっているとホントに幸せだなって思う。何にもしなくたって良い(本当は色々やりたい所だけどね)鷹人の腕の中が一番だ。
「今日は楽しかったよ。来て良かった」
俺がそう言ったら、鷹人が甘い甘いキスをしてくれた。あぁ、早く自分達のベッドに帰りたいな――。
「ありがとう、瞬」
翌日、俺たちが朝食をとっていると、先に食事をすませていた美弥子ちゃんが、ダンスのレッスンに出かけるからと挨拶に来た。
今度来た時は、絶対にダンスを見てもらいたいって言っていた。本当に前向きで元気な女の子だ。
良孝は夜中にバイトに行っていたようで、俺たちが帰る頃に寝ぼけた顔をしながら起きてきた。
「それじゃ、元気でな。良孝」
鷹人が声をかけると良孝がパッと頭を下げた。
「兄さんも元気で。あ、あの……今度遊びに行っても良いですか?」
良孝が目を瞬かせながら聞いてきた。
「……もちろん良いよ」
すぐに来るとは思わないけれど……家に泊まるとか言われたらちょっとマズイよな――俺は鷹人の答えを聞きながらそう考えていた。
「やった。冬休みに行こうかな……旅費貯めておかないとな」
「良孝、そんなに勝手に決めてはダメよ。ちゃんと鷹人さんの予定を聞いてからじゃなくちゃ。鷹人さんは家でお仕事しているんだからね。あんたが行ったら邪魔になるだけだもの」
良子さんがやんわりと忠告していたけれど、良孝には多分通じてないだろうな……。
「仕事用のマンションもあるから、何とかなるかも知れないけれど、前もって連絡くれよ」
あ、そうか。鷹人が仕事部屋にしているマンションに泊まらせれば大丈夫か……。俺はホッとしながら話を聞いていた。
きっと来月にはデモテープが届いて、それから……年内に良孝は東京に遊びに来るかもしれないな――。少し覚悟しておかないと。そんなことを考えていると、鷹人と握手していた良孝が今度は俺の手を両手で掴みながら、真剣な目をして俺を見た。
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